仮想通貨で流通するコインに「柴犬コイン」というものがあって、これは既存のブロックチェーン技術を利用して発行されるトークン(代用貨幣)だが、自民党は「岸田トークン」なるものを発行するという。自民党青年局は27日、28〜29日に会議・研修会を行うにあたって、参加者にこのNFT(非代替性トークン)技術を利用した岸田文雄首相らの顔写真付きバッチを配布すると発表した。
「NFTとは画像、音声、動画などの本来は複製可能なデジタルデータを、ブロックチェーン技術を使って1点もののアイテムとするものなので代替性がなく、ゆえに岸田トークンも譲渡不可能。ここが他の仮想通貨や現金と流通交換できる暗号資産とは異なるところです。またデジタルデータをトークン化するだけなので、データはいくらでもNFT化できる。だから、岸田トークンのほかに小泉進次郎トークンや野田聖子トークンなども作られました。言ってみれば、記念品で配られるバッジのようなもので、会議への参加の対価として配布されるのと同じように、議員の活動記録簿のようなものとして機能させるという狙いがあります」(全国紙記者)
また青年局はこの岸田トークンの発行を序章として、今後はブロックチェーンやNFT、メタバースといった「Web3.0」という新たなデジタル分野での活動に取り組むとして、6月上旬にはメタバース上で街頭演説を行うともした。青年局という若い議員が活動する場所だけに、岸田首相が成長分野として力を入れるスタートアップを自ら率先して行うという意気込みの表れということだろう。ところが…。
「旗振り役でもある青年局政策広報副部長の塩崎彰久議員がこの取り組みの活動報告をツイートしたのですが、その際に上げられた議員の集まりを撮影した写真に、トークンのQRコードが写りこんでいたんです。会議への『参加者限定』で配布されるのに、読み取りコードが判明してその前提が崩壊してしまったわけで、実際、ネットではトークンの契約情報が書かれたコントラクトアドレスを辿ったという報告が上がっています」(同)
いかにも古株の政治家が新しいものに乗っかろうとして犯してしまうようなチョンボなのだが、若手議員もやらかしてしまったのだから物悲しい。しかもネットには「(塩崎議員は)危機管理が専門の弁護士やで」とまで書かれてしまう始末なのだ。
すると話は、本来はいたずらに譲渡されてはいけないものながら、いないはずの転売ヤーが続出した“アレ”にも及び‥‥。
「5月18日に岸田首相の派閥、宏池会のパーティーが行われたのですが、この時に配られた、裏表紙に『自由民主党総裁 宏池会会長 岸田文雄』と印刷されたA6版の『岸田ノート』がメルカリで2万円の値がつくなど、高額出品が相次いだのです」(同)
配布されたのはわずか3000冊。普通ならありがたい記念品として保管すべきものだが、参加者のモラルはいったい? だからネットでは「岸田ノートは転売できたから、今度は転売できないようにしたの?」などと書き込まれる始末。
最初からしてこうなのだから、メタバースでの街頭演説も首尾よく終わるものやら‥‥。
(猫間滋)