18歳を食い物にする「新成人ビジネス」の悪徳実態【2】新手のサブスク商法

 悪徳商法の魔の手は大学や専門学校にも及んでいる。IT犯罪に詳しいジャーナリストの井上トシユキ氏が語る。

「この春に地方から上京してきた18、19歳の学生は標的にされやすい。特に気をつけるべきはマルチ商法。商品やサービスを契約した人間が、自ら勧誘者となって紹介料を得ていくというシステムですが、実際は厳しいノルマを課され、毎月10万円以上の商品を自腹で購入させられるケースも。かつては未成年が契約する際には親のハンコが必要でしたが、今はそのハードルがない。上京したてで相談できる友人もいないことから、巧みな誘い文句に騙されてしまうのです」

 コロナ禍とあって、飲食店などのアルバイト先を探すのも四苦八苦。そんな学生の悩みにつけ込むのが、怪しい情報ビジネスだ。

「『簡単に稼げる方法』『働かずに儲かるノウハウ』といった情報商材を売りつける手口も進化しています。かつてはセミナーで勧誘し、販売員がファミレスに誘い出して契約させるのが常套手段でしたが、今はすべてネット上で済ませてしまう。LINEで数回やり取りしただけで、クレジットカードや電子マネーで決済後に商材をダウンロードする流れ。住所の記入も不要で、取り引きがネット上で完結するため、『10万円くらいなら‥‥』と購入してしまう被害者は多いと聞きます」(井上氏)

 クレジットカードを手にした新成人は、騙す側にとっては打ち出の小槌も同然だ。

「今の18歳は〝サブスク馴れ〟しています。映画ならNetflix、音楽ならSpotify、ミネラルウォーターにマンガと、身の回りはサブスクだらけですからね」

 社会部記者は、こう前置きしてから新手のサブスク商法を明かす。

「サブスクと名がつけば何でもいいんですよ。最も多いのが、ケンショク(健康食品)やサプリ関連。『食べたら記憶力がよくなる』『ダイエットにいい』とか、月額1万円くらいのサブスク契約を交わすんです。高校生は不可ですが、大学生なら審査に通りますからね。月々3万円くらいが長続きするラインで、容姿のコンプレックスにつけ込んで、長期にわたって金を搾り取る算段です」

 営業をかけるのはもっぱらSNSだそうで、

「LINEにオープンチャットがあって、ダイエットや美肌をテーマにしたルームで勧誘する動きが活発化しています。TwitterやTikTokも欠かせない営業ツールですよ」(社会部記者)

 子供にスマホを持たせたくないと思っても、今回のルール変更によって18歳以上ならば自分の名義で契約できてしまう。トラブルに巻き込まれたら「自己責任」と突き放すしかないのか。

 
*「週刊アサヒ芸能」4月28日号より。【3】につづく

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