今回の成年年齢の引き下げで、色めき立っているのが大人のビデオ業界だ。スカウトマンの鼻息は荒い。
「プロダクションはこれまでにも18歳や19歳でもマネジメント契約が結べましたが、後になって本人が『未成年者取消権』を行使して出演を拒否するケースが多々ありました。しかし、今回の制度改正で、一度サインしてしまえば、両親が泣きついてきても契約どおりコトが進む。それでも拒否するなら、違約金を請求するまでですよ」
この問題は国会でも取り上げられた。3月28日、立憲民主党の女性議員が「18歳以上の高校生のビデオ出演が解禁される」と述べて問題提起。
岸田文雄総理は、
「法律の中で最大限やれることは追求する」
と答弁したものの、具体的な対策については明言を避けた。水面下では「新成人ビデオ女優」誕生に向けて仕事師が暗躍し始めている。
「Twitterやインスタで『高額報酬』をチラつかせて若い女の子を釣るのがスカウトの常套手段でしたが、最近では高校の周辺でタムロする輩が多いですね。渋谷や歌舞伎町だと縄張りもうるさいし、警察の目もあるからかえって好都合なんです。登下校の途中なら、メイクも控えめで本当に美人かどうかが一目瞭然ですから」(スカウトマン)
これでは10代への性の搾取が進むばかりではないか。
不敵にもスカウトマンはこう続ける。
「高校生の中にはお金を理由に大学進学を断念する子が大勢いる。4割の大学生が奨学金を受け取っているご時世で、コロナ不況の直撃を受けて大学に行けない子は増える一方。頭のいい子ほどビジネスとカラダを割り切って考えられるもの。出演ギャラで大学に進めるなら、ウィン・ウィンの関係ではないですか」
果たして「高校生艶系ビデオ」は現実となるのか。プロダクション幹部に聞くと、「あり得ない」と一笑に付してこんな見解を示した。
「高3デビュー作は作らないというメーカーからのお達しもあって、在学中の子と契約することはないでしょうね。高校に通っていない18歳でも、よほど覚悟がある子で親の同意書が得られないと契約は結びませんよ」
さらに国会で議論された未成年者取消権についてもこう指摘する。
「そもそも取消権は未成年に限りません。契約書には誰でも解約できる条項が含まれてますよ。つまり、40代でも18歳でも『出たくない』となったらいつでも拒否できるんです。契約書の内容はプロダクションによって多少の差はあるものの、16年に出演強要問題が表面化して以降、いつでも出演を取りやめできる。これは業界の常識ですよ」
*「週刊アサヒ芸能」4月28日号より