鳥取市をはじめ、島根、福井、徳島の各県で先月28日から「ウーバーイーツ」がサービスを開始。これにより、同社が47都道府県すべてへ進出したことが明らかになった。
ウーバーイーツは、 米サンフランシスコに本社を持つ「Uber」が2014年に立ち上げたオンラインフード注文・配達プラットフォームだが、2016年に東京でサービスが始まると、その手軽さが受けて一躍人気に。近年はコロナ禍の影響で宅配需要が伸びたことで、相次いで各県に進出。しかしどういうわけか、この4県についてはスルー状態だった。
経済ジャーナリストがその理由を説明する。
「飲食店やコンビニ、デパートなどが進出する際、まず出店するエリアの商圏分析が必須です。生活する人の年齢構成比とその増減率、事業所数や昼間人口、競合店の存在などです。その前提として『商圏人口』があり、それに照らすと鳥取県は人口が少なく人口密度も低いため販売戦略が立てにくい。つまり、出店しても黒字になる可能性が低いということです。鳥取同様、島根、福井、徳島も全国都道府県の人口ランキングでは下位なので、それだけでもビジネスにとって大きなネックというわけです」
「スターバックスコーヒー」も、鳥取市内に出店したのは47都道府県で最後の2015年5月。それまで知事は「スタバはないけどスナバはある」と”砂丘ギャグ“で自虐していたが、「スナバもスタバもある県」としてニュースになると、連日長蛇の列ができた。また、昨年3月に鳥取店をオープンした「カルディコーヒーファーム」も、47都道府県の最後の店として話題になったものだ。
「46都道府県に店舗展開している『築地銀だこ』も、やはり鳥取県にだけは出店していません。ほかにも『ミニストップ』『サイゼリア』『びっくりドンキー』などは鳥取にはないが、他都道府県にはほとんどある。ただ幸か不幸か、そうしたチェーン店が入ってこないことで、地元の飲食店が地の利を生かして商売ができているというメリットもあります。今回ウーバーイーツが進出したことで、既出店のチェーンや地元店は積極的にデリバリーを活用するでしょうし、また新たな全国チェーンが進出する足掛かりにもなりそうです」(前出・ジャーナリスト)
現時点で鳥取でのウーバーイーツ配達エリアは市中心部に限られているが、すでに地元レストランなど40店以上が登録。SNS上には、《嬉しいですね!ウーバー是非利用したいです》《いよいよ、ウーバーイーツも進出!鳥取も都会になったもんだなぁ〜》という歓迎の声がある一方、《人口が多い都会なら車持っていない人もいるから利用するメリットはあるだろうけど、鳥取県民に需要あるかな〜》《農地エリア以外、テイクアウトや弁当系、出前が充実してるからあんまり頼む人が居ないのかもなぁ》といったコメントも。
かつては「うちの県にだけない」がネタになっていた鳥取。次に出店するのは、さて。
(灯倫太郎)