航空貨物業界に異変! アマゾンが「世界の空」を支配する?

 日本をはじめ、欧米各国でオンライン小売業界のトップシェアを誇るアマゾン。実は、Eコマース業界だけでなく航空貨物業界にも参入していることをご存じだろうか?

 15年に米国で貨物航空会社アマゾン・プライム・エアを立ち上げ、翌年から中型機のボーイング767を20機リースして貨物運行を開始(※同名のドローン配送サービスとの混同を避けるため、17年に現在の『アマゾン・エア』に改名)。

 19年には50機に増やし、20年にはドイツのライプツィヒ・ハレ空港をハブ空港化。さらに今年8月には拠点である米国中西部の主要空港のひとつ、シンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港に28万平方メートルの巨大な専用貨物施設が完成し、機体数はすでに70機を超えている。来年には90機になる見通しで驚くべき早さで成長を続けている。

「これまで世界の航空貨物業界は、DHLとフェデックス、UPSの大手3社がリードしてきましたが、これに完全に割って入る勢いです。すでに40都市に定期便を就航させている米国内ではアマゾン・エアが他社のシェアを奪いつつあり、この勢いならそう遠くない将来に世界シェア1位になってもおかしくありません」(流通ジャーナリスト)

 現在は欧米内の定期便のみだが、他の大手航空貨物会社に依存しない方針を打ち出しており、今後は未就航の日本など世界各地に貨物便を就航させると見られている。

「コロナ禍でも航空貨物業界は好調ですし、同社は経営不振に陥る各航空会社から中古機材を安く購入することでコストを抑えながら積極的に規模を拡大しています。直販やマーケットプレイスのEコーマス事業、クラウド事業などのアマゾングループの主力事業になっていくはずです」(同)

 IT分野のみならず、航空貨物という異業種でも成功を収めつつあるアマゾン。ネット上に加えて、リアル世界の”制空権”を握る日も近そうだ。

(トシタカマサ)

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