後半戦10試合で4人、1人も結果を出すことができないからか、「やっぱり、中田翔を獲っておけば…」の声が中日関係者からも聞こえてきた。
8月24日の東京ヤクルト戦、同点で迎えた5回表二死二塁の好機で4番・ビシエドに打席がまわってきた。しかし、その打席の途中、ヤクルト・高津臣吾監督が立ち上がり、申告敬遠を宣言。続く5番・福田永将が凡打し、中日は好機をモノにすることができなかった。
その後、ヤクルトが1点をもぎ取って勝利したわけだが、中日打線の弱さが改めて露呈した。
「ビシエドの後を打つ5番を誰にするのか、監督、コーチ陣で議論になることも少なくありません。適任者不在で首脳陣の意見がまとまらず、最後は『監督に任せます』ってなっちゃうんです」(名古屋在住記者)
ビシエドを歩かせてしまえば「後は怖くない」というのが、対戦チームが中日打線に抱く印象だ。
「前半戦は高橋周平が5番を務める試合が多くありましたが、打撃不振に陥り、その後は日替わり状態」(同前)
また、このヤクルト戦が後半戦の10試合目、与田剛監督は高橋(2試合)、福留孝介(4試合)、A・マルティネス(2試合)、福田(2試合)の4人を5番で起用したが、得点効力を上げるまでには至っていない。
「中田翔が謹慎処分に下され、巨人行きが決まるまでの話ですが、移籍先としてもっとも有力視されていたのは中日でした。得点力不足で試合を落とすケースも多々あり、でも、中田の素行不良が最後まで引っかかったらしく、正式なオファーには至りませんでした」(同前)
中日の中田獲得については賛否両論があった。しかし「ビシエドを歩かせれば、あとは怖くない」の状況が続き、後悔の声が強くなったという。もっとも、中田も巨人移籍後に今季の不振を完全に払拭できたわけではない。岡本、坂本、丸、ウィーラーといった好打者たちもいて、対戦投手への威圧感は増していった。中日打線の全体的なレベルアップが必要だが、不振の本当の原因は「監督に任せます」となるスタッフミーティングの重苦しい雰囲気によるものなのかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)