タイで急増!コロナ保険金目当て「意図的感染」横行のヤバすぎる実態とは…

 8月に入り、新型コロナウイルスの新規感染者が毎日2万人超えの拡大をみせているタイ。タイ保健省医療科学局の発表によれば、タイで蔓延している新型コロナウイルスの90%がデルタ株で、新規感染者の増加に伴い、連日200人前後が死亡、現在5000人前後が重症・重篤状態と言われる。

 そんなコロナ拡大が止まらないタイで、なんと陽性時に支払われる「コロナ保険金」を目当てとした「意図的感染」を疑われる事例が急増しているというのだ。

 現地事情に詳しいライターが語る。

「タイ政府では今年1月、社会保険未加入者などを中心に3110万人に対し、1人当たり月最大3500バーツ(約1万1700円)の現金給付策を実施。ところが、社会保険加入者や公務員、国営企業職員などを除外したため、大きな批判が起こった。そこで2月に入り、前回対象外だった約927万人に対し、新たに1人当たり4000バーツ(約1万3400円)を4回に分けて給付する現金給付策を実施したのですが、失業者の数が数百万人とも言われるなか、その程度の金額では焼け石に水。結果、手っ取り早く現金がほしいという人々が、コロナにかかればお金がもらえる『コロナ保険』に目を付けたというわけなんです」

 タイでコロナ保険を扱う会社は20社以上あり、掛け金は年100〜1300バーツで、加入に必要なのは身分証だけ。しかも、なかには感染が確認されたら最大20万バーツを受け取れる、あるいは意識不明に陥った場合は150万バーツを支給される商品もあることから、低所得者や若者を中心に人気が拡大。意図的に新型コロナウイルスに感染して保険金を請求する、といったケースが急増したことで、支払いを拒否する保険会社が相次ぎ、社会問題になっているのだ。

「特に多いのが、複数のコロナ保険に加入後、自ら感染して保険金を騙しとるという手口です。感染が拡大した4月以降にはこういった方法で保険金請求する者が後を絶たなかったことから、タイ損害保険協会は6月末、『命の危険がある違法行為であり保険金も出ない』と異例の警告を出したのですが、その後も同様の事例は後を絶たなかったようです」(同前)

 今年1月〜3月に比べ、4月〜6月はコロナ保険への加入が10倍以上になり、保険会社はウハウハだったはず。それがいまや、一時保険金では保険金支払いが保険料収入を上回っているという報道もある。1日の感染者数も、故意の感染行為も、まさかここまで爆発的に増えるとは、先を読むプロの保険会社も予想だにしなかっただろう。

(灯倫太郎)

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