アイドルファンにとって聖地と言えば、東京・秋葉原、数々のアイドルが登竜門的にコンサートを行ってきた中野サンプラザ(2024年に解体)のある中野などがあるが、なんと言っても忘れてはならないのは原宿だ。ところが長いことジャニーズファンに親しまれてきた「ジャニーズショップ原宿」が8月一杯をもって営業終了。9月からは西武渋谷に移転して「ジャニーズショップ渋谷」に衣替えすることとなった(これに伴い、西武渋谷にある「ジャニーズ・アイランド・ストア」は7月16日から休業。ともに9月にリニューアルオープンする予定)。
「原宿は言わずと知れたショップの街。特にタレントショップの聖地とも言え、80〜90年代には所ジョージ、山田邦子、田代まさし、酒井法子、とんねるず…と、テレビの有名人がこぞってショップを出店していました。バブル的なブームだったわけですが、タレントショップの街という定着したイメージは今でも変わらず、AKBのオフィシャルショップもあればJ−POPやアイドルの中古グッズ店の『TRIO』や韓流アイドルグッズ専門店の『Kスター』もあります。その中でもジャニーズショップは、中高生くらいの若いアイドルファンがこぞって集まる街・原宿のイメージの中心にあったんですが」(週刊誌記者)
ところがそのジャニーズショップは、お隣とはいえ渋谷に移転する。また少し前の話ではあるが、やはり韓流・K−POPグッズで有名だった「アイドルパーク」も既に15年に移転している。徐々にではあるが、アイドルショップが原宿から消えつつある。
だが、事情はアイドルショップに限った話ではない。昨年10月にはセレクトショップを展開するアーバンリサーチの神南店が撤退。今年2月にはシップス原宿店が、8月にはライトオンの旗艦店が閉店予定など、アパレルのショップが続々と原宿から姿を消した、または消そうとしているのだ。ショップの街だった原宿でのショップ離れとでもいえようか。
「1つには再開発による街の変貌があるでしょう。ジャニーズの移転は、100年に1度と言われるほどの渋谷の街の再開発が背景にあるでしょうし、アイドルパークの移転も、現在、JR原宿駅前に立つイケア初の都市型店舗やユニクロ、レストランなどが入る複合ショッピングビルの建設に伴う移転でした。さらには時代の流れをコロナ禍が後押しした、実店舗からECへというショッピングの潮流も関わっています。少子高齢化で今後は若年層の需要が細ることは確実、またインバウンド消費も減り、特にアパレルは大ダメージを受けている最中です。となると、今さら地代の高い原宿にわざわざショップを維持するメリットはないということです」(前出・記者)
原宿からアイドルの灯が消えゆくのも時代の趨勢ということらしい。
(猫間滋)