打者の胸元スレスレを狙うブラッシュボールは投手を優位に立たせる投球術だが、ひとたび手元が狂えばビーンボールとなるリスクも。危険球を人に置き換えれば、扱いを間違えるとチーム崩壊の元凶ともなる。いよいよラストスパートを迎えたセ・パ交流戦の裏側でも、そこかしこに地雷が埋まっていた─。
パ・リーグ最下位のまま、交流戦でも低空飛行が続くのは日本ハムだ。オフのエース流出やチームのコロナクラスター発生など不運に見舞われてきたが、主砲・中田翔(32)の大スランプも無関係ではないだろう。6月4日の巨人戦から1軍に復帰はしたが、急性腰痛で離脱するまでの成績は打率1割9分3厘、4本塁打、13打点(6月8日現在)と、散々なもの。スポーツ紙デスクが「レベチ」な惨状を語る。
「今季の見せ場は、4月17日に楽天・田中将大(32)から放った一発ぐらいのもの。どうやら、打つ時に体が突っ込んでしまう悪癖が再発しているようです。左ヒジが開いてしまい、内角の速球に対応できなくなっている。若手時代は、2軍監督も務めた当時の福良淳一ヘッドコーチ(60)が極端なガニ股のフォームにして矯正しましたが、はたして、今の中田に進言できるコーチがいるかどうか」
後輩たちを子分として従える「大将」にヘソを曲げられてしまえば、チーム全体の士気にかかわる。栗山英樹監督(60)も手をこまねく状態だったが、ある「事件」をきっかけに、中田の立場は暗転。4月7日のソフトバンク戦にさかのぼって、球界関係者が明かす。
「この日の中田は荒れに荒れていました。待望のチーム1号を大田泰示(30)に持っていかれたのと、コロナで飲みに行けないストレスが相まって、イライラが最高潮に達していたんでしょう。5回の3打席目に三振してバットをへし折り、ベンチに退いてからが大変だった。ベンチ裏でバットやヘルメットを投げつけるなど大暴れだったといいます」
バックステージで中田が大乱闘に及ぶのはこの日ばかりではなく、誰も止められない恒例行事だったそうだが、翌4月8日には、まぶたを大きく腫らした〝お岩さん〟状態で姿を見せた。
「唯一、中田にもの申せる金子誠コーチ(45)、もしくはチームの規律を乱す存在に制裁を求める外国人選手にぶん殴られたとの情報が駆け巡りました。本人は転んで負傷したと主張していますが、チーム内で問題視されている現状をうかがわせるのに十分な憶測情報でした。いずれにせよ、抹消の直近5試合も16打数1安打で、完全にチームのお荷物扱い。チーム内に悪影響しかないと、さすがに栗山監督もサジを投げました」(球界関係者)
そして、5月17日に登録抹消。ファームのある鎌ケ谷ではなく、札幌の合宿所で一人、打撃練習に打ち込んだ。この頃を境に、チーム周辺では中田の放出話がささやかれ始めたという。
「深刻なハムの投手不足を解消する算段なんです。中田クラスを差し出せば、1.5軍クラスを2人は確保できますからね。中田としても、他球団に移ってはお山の大将でいられないので、チームに残留したい強い思いがある。そのアピールが皮肉にも他球団の評価を高めて、引き合い件数を増やしていたようですが…」(スポーツ紙デスク)
ゲーム復帰まで3週間かかるという。