何とも羨ましい調査結果だ。アメリカの従業員福利厚生研究所が4月23日に公表したデータによれば、「定年後も余裕のある生活を過ごせる」と答えた定年退職者や労働者が82%にのぼり、1990年から開始した調査で最も高い割合になったという。
「アメリカではほとんどの会社が退職金制度を採用していませんが、退職金については証券会社を雇い上限なしの積み立てを提案するなど、フォローがしっかりしています。今はアメリカの景気が好調なこともありますが、個人による老後計画も上手くいっているということでしょう。一人一人が国や会社をアテにしていないという面もありますね」(経済アナリスト)
一方で日本の老後はどうだろうか。2018年10月発表の労働省「就労条件総合調査」によれば、17年における大卒の定年退職者の退職金の平均額は1788万円で、なんとピークだった20年前と比べ1000万円以上も減っている。
「かつては9割以上の企業で退職金制度がありましたが、最近では出さない企業も増えています。17年の調査によれば退職金制度のない企業は19.5%にのぼり、実に5社に1社が退職金を支給していないのです」(経済評論家)
こうした状況はすでにネット上でも話題になっており、《年金もほとんどもらえないんだろ。これから定年を迎える人の老後は詰んでるな》といった不安の声が溢れ返っている。
「退職金を支給するかどうかは会社の自由であり、法律などでの縛りはない。また、仮にこの先景気がよくなったとしても、一度減ってしまった退職金が持ち直す保証はどこにもありません。よく言われることですが、50代に入った段階で、それまでの貯蓄をいかに運用するかが、老後の生活水準を大きく左右することになる。今後はますますその傾向が強くなるでしょう」(経済アナリスト)
500円貯金でさえ重要な時代なのだ。
(小林洋三)