歌舞伎俳優の市川海老蔵と松竹は、今年1月に東京・新橋演舞場で上演した「初春 海老蔵歌舞伎」の舞台収録映像を医療従事者に無料配信することを2月15日に発表した。
松竹の説明によれば、
「長く続く感染症との闘いの中、医療従事者の皆様をご支援するためにエンタテインメント業界ができることは何かと模索する中、歌舞伎俳優 市川海老蔵の発案のもと、本年1月東京・新橋演舞場にて 公演しておりました『初春 海老蔵歌舞伎』千穐楽公演の舞台収録映像を医療従事者の皆様に無料配信させていただくこととなりました」
と、海老蔵の発案からこの無料配信企画が実施されることになった模様。今回はオンラインで有料生配信したものに海老蔵から医療従事者へのメッセージが追加されているそうだ。
海老蔵も自身のブログで「コロナ禍にて医療従事者の方々に私にできる事は何か?と松竹と話し合い微力ながら出た答えは正月の海老蔵歌舞伎を!! 本日から1ヶ月 医療従事者の方々に無料で!!」と明かしており、「お伝えします。100万人への感謝」という記事のタイトルどおり、無料配信の対象となる医療従事者は100万人を超える見込みとのこと。
そんな海老蔵の善意から生まれたアイデアだが、世間の反応をリサーチしてみると《歌舞伎に興味がある人がそこまでいるとは思えない》《忙しい医療従事者が貴重な休息を割いてまで歌舞伎見るかね?》《見る時間もないだろうし、有料配信して収益を寄付することはできなかったのかな》など、そのリアクションはお世辞にも良好とはいえないようだ。
「海老蔵もブログで『私達に出来ること、微力ですがよろしくお願い申し上げまする』と挨拶しており、この企画がもたらす効果は微力であることを自覚していることから、そもそもこの企画で英雄のように崇められるとは思ってはいなかったでしょう。それでも、まさか良かれと思ってのこの行動をここまで外野から言われてしまうのは想定外だったのでは? もちろん、”やらない善よりやる偽善”といった言葉があるように、アクションを起こしたことは素晴らしいこと。ですが、医療従事者が無料配信を見るほどのゆとりがあるかと言われれば、何ともいえないところ。ジャニーズ事務所では昨年4月に有料動画の収益を医療物資の購入費用に充て、医療機関に防護服や医療用マスクを寄付しています。歌手の広瀬香美も同年7月に実施した配信ライブの収益の一部を医療従事者に寄付することを発表していましたね。エンタメの力で直接、医療従事者を元気づけたいという海老蔵の気持ちもわからなくもないですが…」(エンタメ誌ライター)
とはいえ、歌舞伎に興味がある医療従事者にとっては有難いことこの上ない試みなだけに、海老蔵の善意が少しでも医療従事者に届いてほしいところだ。
(田中康)