大河ドラマの“恒例イベント”中止で業界から安堵の声「毎年の出費が…」

 2月7日の放送回で大団円を迎えたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」。主要キャストに予定されていた沢尻エリカの逮捕、コロナ禍による撮影延期、放送期間のずれ込みなどゴタゴタ続きだったが、最終回は18.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、初回の19%超えに次ぐ高視聴率をマークした。

「通常ならクランクアップ直後の10月か11月に行われるのが恒例ですが、当然のことながら、今回は中止でしょう。それこそ上層部からは『絶対に現場からコロナ感染者を出すな』と厳命がくだされていましたからね。やや寂しい気もしますが…」

 NHK関係者がこぼすのは、大河ドラマの打ち上げに関する話。2019年10月に行われた「いだてん~東京オリムピック噺~」の打ち上げパーティーには総勢700名が参加したとの報道があったが、他の民放各局のドラマ同様、コロナ禍でこうしたイベントは中止を余儀なくされている。

 これに安堵の声をもらすのは中堅プロダクションのマネージャーだ。

「大河の打ち上げといえば、そりゃあ、豪華メンバーが集まりますからね。うちの事務所は、何人かの若手俳優がチョイ役で出演する機会も多いので、ほぼ毎年のように参加させていただいていました。つらかったのが、費用の負担。民放の連ドラは基本的に局持ちですが、NHKは会費制。大手事務所なら、経費として認められるのでしょうが、うちは自腹。しかも出席したいという若手俳優も役者では食えずにバイトをしている状態なので、結果的に私が全員分を負担していたんです。会費は7000円から8000円といったところですかね。2次会、3次会に流れると、一晩で5万円とか6万円の出費になるわけです。今回は中止なので、内心ホッとしているところもあります」

 たしかに、「みなさまの受信料」で成り立っているNHKだけに、ドラマの打ち上げ費用も賄っているとなれば大問題になりかねない。自腹負担がイヤならば、わざわざ出席しなくてもいいのでは…そんな思いがよぎるが、

「打ち上げには脚本家の大先生や局の重鎮も顔を出しますからね。そこであいさつをしてアピールすれば、次の仕事につながることもあります。実際、有名脚本家のプッシュで連ドラのレギュラーが決まることも珍しくないんですよ。逆に顔を出さないと『なんでアイツら来ないんだ?』と陰口を叩かれかねませんからね。まあ、自分も苦労している所属俳優には売れてほしいですから、年に一度の“自腹イベント”だと思って身銭を切っていました。でも、そんなバックアップがなくても売れる俳優は売れるもの。コロナが収束しても、今後は自分の財布と相談しながら参加する予定です(笑)」(前出・マネージャー)

 ともあれ、コロナ禍で無事に“完走”を果たした「麒麟がくる」のキャストやスタッフには心から敬意を表したい。

(竹下光)

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