富山めぐみ製薬が製造する、黄色いカラーの桶に赤字で「ケロリン」のロゴの入った「ケロリン桶」のとある利用方法について、製造元が直々に注意喚起を発表するなど問題視されている。
「ケロリン桶」といえば全国の銭湯で使用されている風呂桶だが、近年では飲食店や居酒屋でも大活躍していた。その人気ぶりはSNSを見れば明らかである。インスタグラムなどのSNSで「#ケロリン」と検索すると次々にヒットするのが通称「ケロリン桶サワー」だ。桶にはたくさんの氷やカットレモンが浮かび、レモンサワーやハイボールがなみなみと注がれている。
桶で提供されたサワーをひしゃくですくい、コップに注いで飲むという人気メニューだ。インスタ映えすると口コミで広がり、複数の飲食店で看板メニューとして親しまれてきたが、実はこの「ケロリン桶」での酒類提供は食品衛生法に違反しているという。
10月6日、製造元である富山めぐみ製薬は「ケロリン桶は食品衛生法上の食器ではないため、各種規格適合、溶出試験を行っておらず、食器として利用する際の安全性が担保できません。(食品衛生法第15、16条より)」「利用されている店舗様、企業様におかれましては、速やかに食品衛生法上の食器に差し替えていただけますよう、よろしくお願い申し上げます」と注意を促した。
この発表後ネット上では《アルコールはプラスチック成分を溶かす恐れがあるって誰も指摘しなかったのか?》《写真映えのために桶にお酒入れておもちゃのアヒル浮かべたりしてるのを見て、食べ物で遊びすぎだと思ってた》《インスタ映えを優先しすぎて食の安全がないがしろにされているケース、ほかにもあると思う》など桶を食器として利用していたことに批判の声が相次いでいるが、「ケロリン桶サワー」を惜しむ声も多く、《みんなでシェアできるしたくさん飲めて楽しかったのに》《ならいっそ食器として条件を満たしたケロリン桶の販売を希望します!》など、食品衛生法上、安全な「ケロリン桶」を製造してほしいというファンの熱望も聞かれるが…。
「ケロリン桶サワーは食品衛生法上でも問題ですが、一部では『ケロリン桶イッキ』などと呼ばれる一気飲みチャレンジに使用されている例もあります。一気飲みではなくても、アルコールの大量摂取を目的とする利用方法のために製薬会社である製造元が腰を上げるでしょうか…。ケロリン桶サワーを惜しむ声は多いですが、なかなか実現は難しいでしょう」(経済誌ライター)
レモンサワーを風呂桶で飲むということは酒好きにとって憧れの飲み方なのかもしれないが、やはり食の安全が脅かされる提供方法はあってはならないだろう。
(浜野ふみ)