当て逃げ報道で批判殺到!“ウーバー配達員”が逮捕されない驚きの理由とは?

 新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛ムードによって、存在感を一気に高めた「ウーバーイーツ」。なかなか外食に出かけられない時に、お気に入りの店舗のメニューを配達してもらった人もいれば、コロナ不況の中でウーバー配達員の仕事を始めて、生活の糧とした人もいることだろう。

 飲食店とユーザー、そして配達員を結びつけて三者が「ウィンウィン」の関係となる画期的なサービスだが、一部の配達員の走行マナーのせいで、メディアでもやり玉に挙げられる機会も増えた。

「大きなリュックを背負って自転車を猛スピードで走らせる配達員の姿は、都内でもすっかりおなじみとなりました。6月に改正道交法が施行され、少しは改善されるかと思えば、いまだにスマホを見ながらの“ながら運転”、信号無視、歩行者の安全をおびやかすような危険運転がSNSなどで数多く投稿されています。ウーバーイーツの国内でのサービスが開始されたのは2016年ですが、配達員は従業員ではなく、仕事を請け負う個人事業主という点に変わりはなく、事故が起きたら配達員の責任というスタンス。本部が運転マナー改善のための講習会を開いたという話も聞きません」(社会部記者)

 過去には高速道路を自転車で走る“ウーバー配達員”らしき人物の姿がテレビで報じられることもあった。そして先日、またウーバーがらみの事故が全国メディアでいっせいに報じられることとなった。

「8月上旬、千葉県船橋市で原付バイクによる自動車への当て逃げ事件が発生しました。被害を受けた車のドライブレコーダーの映像によると、車がゆっくり停止しようとしたところ、後方からやってきたバイクがスピードをゆるめることなく、そのまま追突。バイクの運転者は『Uber Eats』と書かれたリュックを背負っていることから、配達員であることは間違いなさそう。車は通行の邪魔にならないよう一旦路地に入り停止したのですが、そのバイクは路地へ入ることなく、そのまま何事もなかったかのように走り去っていってしまったのです」(前出・社会部記者)

 ニュース報道によれば、その後、車の運転手はウーバー本部に連絡。当初は「ドライバーの本名などがわからないと特定できかねます」との“メール対応”に被害者男性は憤りを隠せなかったようだが、現在はウーバー本部も「現在警察の捜査に全面的に協力しております」としている。男性は3カ月ほど前に車を買い替えたばかりで、修理費に約37万円かかり、首と肩の辺りに痛みがあるため病院に通っているという。

 事件発生からすでに2週間ほど経っているにもかかわらず、現時点でいまだに犯人の特定にはいたっていない。その理由について犯罪ジャーナリストは、ある可能性を指摘する。

「確かにドライブレコーダーの映像を見ると、ウーバーのリュックを背負っていましたが、犯人はウーバーの配達員ではない可能性があります。基本的にどの配達員も業務上、GPSが搭載されたスマホを持つ必要があるため、本部の配車データをたどれば、“犯人”の目星はすぐにつくはず。被害者のドライブレコーダーには細かい日時が表示されていたので、事故発生場所を通過していた配達員はすぐに特定できるはず。これほど時間がかかるのは不自然です」

 では、あの配達員はどんな人物だと考えられるのだろうか。

「ウーバーのバッグを背負っているからといって、配達員と断定するのは早計です。じつはフリマアプリやオークションサイトには中古のウーバーバッグが多く出品されているため誰でも簡単に手に入れることができます。保冷機能があることから、大人数でのBBQやピクニックなどでも重宝されているようです。そして、違法薬物や盗品・密輸品などのいわゆる“運び屋”だった可能性も否定できません。運び屋にとって、ウーバーのリュックはカモフラージュにうってつけ。ウーバー配達員のふりをすれば、普通の乗用車よりも、警察から職質されるリスクも低くなるそうですからね。仮にされたとしてもダミーの料理も一緒に入れておけば、さすがに料理の中身まで調べられることはありません。道交法上、当て逃げのペナルティは1年以下の懲役または10万円以下の罰金ですが、今回のような交通事故の場合はそうもいかず、細かく調べられる可能性もあったため、あのバイクは逃走したとも考えられます」(前出・犯罪ジャーナリスト)

 ウーバー配達員たちは今日も、料理を待つ人のため、風のように街中を走り抜けていく。誰もが安心して利用できるよう、当て逃げ犯が一刻も早く捕まることを祈りたい。

(橋爪けいすけ)

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