U-NEXTやBS11などで放送されている韓国のドラマ「キム秘書はいったい、なぜ?」が韓流ファンの間で人気のようですね。本作はツンデレ御曹司と敏腕秘書が織り成す、シンデレラ・ラブコメディですが、実際の秘書という仕事には社会人としての〝総合力〟が求められます。恋愛ドラマのように甘くはありません。
そこで、今回ご紹介するのが「秘書検定」。秘書に限らず、社会人なら誰でも役に立つ知識が学べる検定です。
それでは例題を見てみましょう。
〈問1〉「参る」の言葉遣いが不適当と思われるものは①「郵便局には私が参ります」、②「タクシーがただ今参りました」、③「弊社へ参っていただけませんでしょうか」、④「資料をお届けに参りました」のうちどれ?
〈問2〉ビジネスの場では、それまでの役職や地位から低いところに落とされることを「左遷」と言いますが、この言葉の反対語は①栄転、②右遷、③出世、④異動のうちどれ?
実際の問題は選択問題(マークシート方式)や記述式で出題されます。例題の答えは〈問1〉が③、〈問2〉が①となっています。
試験区分は3級、2級、準1級、1級の4つがあり、受験料は2800円(3級)〜6500円(1級)となっています。
私は2級に合格していますが、この検定を受けたのはかれこれ20年近く前のこと。大学生の時に資格・検定のおもしろさに目覚めて、2つ目ぐらいに挑戦したので思い出深いですね。
秘書と聞くと、どうしても女性が就く職業というイメージがいまだに強いでしょう。しかし、私は講演や取材などで、よく学生や新社会人に向けて、男女問わず、この検定をすすめています。
前述のとおり、秘書検定ではビジネスマナーや日本語力など、社会人の一般常識が学べます。そのため、就職活動では、履歴書の資格欄に「秘書検定〇級」と書いておけば、ライバルに差をつけることができます。
あるいは、OJT(職務訓練)があまり充実していない企業に就職した新社会人でも、この検定でハイクラスのビジネスマナーを学ぶことができ、営業成績や人事評価に好影響をもたらすかもしれません。
一方で、管理職も秘書検定に合格するメリットはあります。例えば、新人部下に対して「出張に行ってくる」とだけ伝えるのは不十分。「出張に行ってくるから、留守中の電話や来客は報告するように。何か問題が発生したら携帯電話に連絡してほしい」と、明確な指示が出せるのも、秘書としてのビジネススキルがあってこそ。
しかし、社内コミュニケーションの取り方や優先順位の立て方などを知らずに、曖昧な指示ばかり出していると、結果的に管理職としての資質を問われてしまう可能性も‥‥。
秘書検定を通じて、いま一度、自分の〝社会人力〟を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は600