任天堂が本気でも、転売ヤー撲滅には、まだまだ時間がかかりそうだ。
6月5日に「Nintendo Switch 2」が発売されてから約2週間。いまだ「本当に手にしたい」多くの消費者には行き届いていないできない状況が続いている。
任天堂は今回、Switch2の発売に際し転売ヤー対策として、これまでにない異例の対策を実施。公式ストアでの抽選販売の申し込みに、Switchソフトのプレー時間50時間以上、オンライン有料会員の場合は、累計1年以上という加入条件をつけた。さらに販売する家電量販店でも、2年間で計15万円以上の製品を購入した会員のみ、などの条件をつけるところもあり、抽選専用サイトのアドレスを通知するなどの対策がとられた。
「特に、今回発売されたSwitch2には保証書が付いていないため、不良品や欠陥品などの返品、初期不良の対応には購入店のレシートや領収書、オンラインショップの納品書などが必要になります。転売ヤーが最も嫌がるのが『身バレ』ですが、納品書には当然、住所や氏名が記載されていますし、レシートや領収書にも購入店、伝票番号や取引番号が明記されています。結果これが、転売ヤーたちの『買いにくさ』につながっていることは間違いなさそうです」(ITライター)
とはいえ、現在もなおフリマサイトには「Switch2」が堂々と大量出品されており、価格はおおよそ6万8000円前後。ただ、国内専用版の希望小売価格が4万9980円、これに販売手数料10%と送料を考えると、さほど大きな利益はなさそうに思うのだが、
「転売ヤーの中には複数の家電量販店を使い分け、10年以上、転売行為を繰り返すプロ集団も少なくない。今回、たしかに家電量販店は購入履歴の有無や、電話番号によるSMS確認を行ってはいるものの、そんな連中のなかには購入履歴を作るため、連日、せっせと安い乾電池などを購入。数万単位のアカウントを所持している猛者もいると言われますからね。しかも、彼らは偽造身分証を所持、店舗受取の際の本人確認もいとも簡単にクリアし、それをフリマサイトなどに大量に流すという。1台の利益は少なくとも、大量に捌けば十分ペイできるというわけなんです」(同)
さらに、ここ数日確認され、SNS上で大騒ぎになっているが「Switch2」を巡る詐欺行為だ。
あるフリマサイトに掲載されたSwitch2 の画像。もちろん商品名は「Switch2 本体 即購入可」だ。しかし、値段がメーカー希望小売価格とほぼ同額の5万円程度。当然ユーザーの多くが、お手頃だと思ってしまうはずだ。
「ところが、説明欄をよく読むと、最後に小さく《素敵な写真を発送致します》と書かれ、いざ購入したら送られてきたのが、箱だけ、あるいは商品写真だけだったといった被害が頻発しているという。フリマサイドでは、AIなどを活用して監視するとともに出品は削除、悪質性が高い場合はアカウント利用制限や排除などの対応策を取っていくとしていますが、転売集団が詐欺集団に衣替えした可能性もあり、しばらくの間、このようなイタチごっこが続くことになるでしょうね」(同)
任天堂の対策により、ある意味「旨味」を失った転売ヤーたち。しかし、それが詐欺行為を誘発したとしたら由々しき事態だが、はたして欲しい人が適正価格で購入できる環境が整備される日はいつなのか。まだまだ、課題は多く残されている。
(灯倫太郎)