高名画家に学ぶ「健康長寿」の必須5カ条(4)ピカソが放った「最期の言葉」

 これらを踏まえ、霜田医師は画家式健康長寿の「5カ条」を勧める。

【1】楽しみを10個見つける

 決まり切ったスタイルやワンパターンな思考を持つと、たちまち脳は衰える。逆に新しい経験や知識は脳を刺激し、活性化を促す。

「スポーツや映画を見る、何かを収集する。広く浅くでいいし、趣味というほどでなくてもいいので、楽しめることを10個見つけておくことです。趣味はゴルフだけ、という人が膝や腰を痛めたら一気にシュンとしてしまう場合も多い。だから体が悪くなってもできるもの、お金がなくてもできるものなど、複数持っていたほうがリスクが少ないでしょう」

【2】一日8000歩のウォーキング

 有酸素運動も無酸素運動も脳を活性化させるが、特に前者は脳内の神経細胞を刺激し、海馬の働きを促す。

「海馬は記憶や空間認知に関わるので、有酸素運動を習慣にすることは認知症の予防につながります」

【3】瞑想

 体と同様、脳も疲れを取ることが大切だ。目を閉じて音楽を聴く、アロマオイルをたいて香りに包まれるなど、聴覚や嗅覚を活性化させると脳の疲労を回復させる効果がある。

「長寿画家たちは絵を描いている間、瞑想状態の中にいる可能性もあります。で、描きたいという意欲が湧いてきた時にキャンバスに向かっているのでは。瞑想によってエンジンとブレーキをうまく使い分けられるようになる、というわけです」

【4】食事は野菜5割、魚3割、肉2割がベスト

 魚の脂が認知症予防に効果があるというのは、さまざまな実験で実証済み。ただ、魚ばかりで肉を食べないと筋肉ができず、パワーが湧いてこない。肉もきちんと食べる食生活を心がけたい。

 ちなみに横山大観の酒の肴は、決まって旬の野菜だったという。

【5】野心と色気を持つ

「『野心』や『野望』というと大げさですが、『俺はいつまでもモテる男でいてやるぞ!』でもいい。そんな野心というか情熱があれば、人間はなかなか枯れることはない。長寿画家たちは亡くなる直前まで『1作でも多く描きたい。それを残してやるぞ』という野心があったはずです。それが脳を活性化し、若返らせ、その結果、健康長寿につながった。だから、ただ健康のことを気にしてヘルシーな食事を摂って運動して、というのではなく、人としての『色気』を持つこと。それがコアな部分であって、そのうえで食事に気をつけたり運動をしたりすることが長寿の秘訣だと思いますね」

 ピカソの最期の言葉は、往診に来た独身医師に言った「女っていいもんだよ」。男は死ぬまで男でいること。妻や愛人を含め、7人の女性を愛したというピカソの没年齢が、それを証明している─。

ライフ