リセールが良ければ買いか…トランプ氏の「アメ車買え」要求に車好きが納得する理由

 トランプ大統領による、アメリカ車の日本市場開放問題が、SNSを賑わせている。

 トランプ氏は石破茂首相との電話会談の中で、「我々は日本でまったく車を売っていない。一方で日本はアメリカに何百万台もの車を売っている」と話し、アメリカ車が日本でも売れるように市場の開放を求めた。

 ところが、この発言を機に、X上では、《アメ車は大きすぎる!》《左ハンドルだから売れない》《アメ車はそもそも燃費悪すぎる。ハイブリッドなら考える》などといった反論が続出した。

 その一方で、一部の車好きはこうした声を冷ややかな目で見ている。そもそも売れ筋のアメリカ車の多くはすでに「右ハンドル」が採用されており、大きさも国産の中~大型SUVとほぼかわらないからだ。

 2024年1月から12月の1年間に日本国内で販売されたアメリカ車で、最も売れたものは「ジープ・ラングラー」の3294台。ラングラーは右ハンドルで、排気量も2000ccのターボエンジンが搭載されている。本格的なオフロード車なので、軽量コンパクトとはいかないが、大きさはむしろトヨタのランドクルーザー250よりも若干小さいくらいだ。また、下位モデルの「レネゲード」は、トヨタ・ヤリスクロスを一回り大きくした程度のボディサイズなので、この車に関しては「大きすぎる」という指摘は当てはまらない。

 では、何が日本でうけないのかというと、「リセール」だという。自動車ジャーナリストが言う。

「日本における外国車のリセールは、なにもアメリカ車だけでなく、ドイツのメルセデスベンツやBMWもよくありません。理由はメーカー保証が切れてからの部品代などの維持費が高額になってしまうからです。もっとも、最近の外国車は日本製のパーツの使用率も高く、簡単に壊れたりはしません。実は、驚くほど乗りやすい車種もあるのです」

 売れ筋のラングラーは、今でこそ物価高のアオリを受けて価格が跳ね上がってしまったが、つい3、4年前は、ランドクルーザーと同価格帯で販売されており、しかも5年後の売却価格が6~7割もある高リセール車だった。また、今でこそ「反トランプ」の象徴のように見られているテスラも、一時は都心部を中心にステータス性の高い車種として人気だった。

 アメリカ車が不人気な理由の多くは、「マイナスイメージ」によるもので、昔からの自動車好きはその価値を十分に認めているのである。

(ケン高田)

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