カルビー「ポテトチップス」が5g減!「実質値上げ」の手法が止まらない3つの事情

 カルビーは3月3日、「ポテトチップス」10商品の内容量を7月21日発売分から順次5g減らす、実質的な値上げをすると発表した。

 同社の公式ホームページによると、原材料価格の上昇を受け一部商品の内容量変更を実施するとのことで、7月21日から「ポテトチップス うすしお味」「ポテトチップス コンソメパンチ」「ポテトチップス のりしお」は60gから55gへ、9月1日からは「ポテトチップス 北海道バターしょうゆ味」「ポテトチップス 関西だししょうゆ」など地域限定で販売されている商品も58gから53gへ、それぞれ5g減らされるという。

 この発表に対してネット上では、《また「実質値上げ」。勘弁して》《ポテトチップスはそのうち袋の中身が空気だけになる》といった悲鳴が上がっている。今回の場合はカルビーから発表はされているものの、商品の値段は据え置き内容量を減らすことで実質的な値上げにする行為は、気づかれずに値上げすることから「ステルス」などと呼ばれ、2017年頃から世間に毛嫌いされる傾向にある。

 実際、最近ではステルス値上げされた商品をまとめたサイトも数多く登場するなど、消費者はかなり敏感になっているようだ。海外でもステルス値上げはシュリンクフレーションと呼ばれ、特にフランスでは社会問題化。昨年7月より価格を変えずに内容量を減らした商品には店頭での表示が義務付けられるようになった。

「メーカーが実質値上げをやめられない理由は3つあります。1つは単純に値上げするよりも内容量を減らした方が圧倒的に客離れが起きにくいから。そもそも、その商品の内容量がどれくらいなのか知らない人は多いですからね。2つめは、小売店から商品が排除されないため。2022年に花王が商品値上げを実施した際、スーパーのオーケーが取り扱いをやめたことが話題になりました。一部の小売店では商品の安さが取り扱うための重要なファクターになっているため、値上げによって売り場から商品が消えることがないように内容量を減らすのです。そして最後の3つめは、パッケージの容量を変更するだけで済むため。販売店も商品の値段表示を変更するといった手間を回避できるというメリットもあるからです」(経済ライター)

 メーカーにはメリットが大きい「実質値上げ」。もはや最近は当たり前となってしまっているだけに、今後も様々な分野で実施されるだろう。

(小林洋三)

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