「150歳の年金受給者がいた」イーロン・マスクが爆弾発言、米国の社会保障データはデタラメか

 トランプ大統領からの要請を受け、政府効率化省のトップに就任した実業家のイーロン・マスク氏。先日、ワシントン・ポストが行った世論調査によると、彼の就任を支持する米国民は34%にとどまっている。

 だが、世界各地で人道支援などを行う米国国際開発庁(USAID)は、「現在の国益に見合わない」との理由で解体の方針を示し、すでに数千人規模の職員が休職状態に。ちなみにUSAIDの予算は年400億ドル(約6兆円)、これだけの歳出削減に道筋をつけたことになるが、そのマスク氏は社会保障に対する問題提起も行なっている。

 2月11日、ホワイトハウスの大統領執務室で行われた会見の席上、マスク氏は「150歳の年金受給者がいた」と指摘。さらに17日には、120歳以上の1000万人超の人々が受給しているという“社会保障のデータベースの間違い”を当該箇所のスクリーンショットとともにXに投稿し、波紋を呼んでいる。

 なお、昨年末に亡くなった当時世界最高齢の日本人の糸岡富子さんは116歳。これを上回る長寿の人物が米国内にいたとの情報はない。それだけに年金が給付されていたら大問題だが、米国内の社会保障の専門家たちは誤給付について懐疑的だ。

 社会保障局のシステムで主に用いられているのはCOBOLという古いプログラミング言語。必要な情報が入力されていない人物の場合、150と表記されるというのだ。

「多くの国の政府系機関に採用されていますが、この言語が開発されたのは1959年。マスク氏のチームはこの言語に不慣れだったことから勘違いしたとの一部報道もあります」(米国在住ライター)

 もちろん、処理上のミス、または意図的に死亡届を出さなかった等により、亡くなった後も年金が受給され続けていたケースはどの国もある。しかし、マスク氏が指摘するのはそういったレベルではなく、それを裏付けるさらなる証拠は出ていない。

「彼の主張が事実なら問題ですし、勘違いでも誤解を招く表示がシステムにあるのはマズい。実際、米国のような国が未だに古いプログラミング言語でシステムを組んでいることにも疑問の声が上がっています」(同)

 社会保障のデータベースがこれでは国民も不安。いずれにしてもシステムを含め、この機会に見直したほうがよさそうだ。

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