イチローと三浦カズの「最強便」が安倍首相を救う(4)便からガンの新薬ができる!?

 潰瘍性大腸炎の治療に取り組む消化器内科医が言う。

「ただ、潰瘍性大腸炎患者の便移植はCDと違い、治療成績はそれほど芳しくはありません。便移植で病状が改善、寛解した患者は移植患者の30%程度で、成績のいい順天堂大でも60%と言われています。欧米に比べ、日本で便移植の認知度が低いのは便ドナーが少ないことも一因で、日本国内で認可を受けて便移植を行っているのは、安倍総理が通う慶應大と順天堂大、藤田医科大、滋賀医大の4施設に限られます」

 便移植が過熱するアメリカでは今年に入り、薬剤耐性菌を持ったドナーから便移植された患者が薬剤耐性菌に感染し、死亡する医療事故が相次いだ。この消化器内科医が続ける。

「こうした薬剤耐性菌の有無を調べられるのは、大学病院規模の検査施設に限られます。他人の新鮮便をごっそり移植するわけですから、どうしても感染症のリスクがある。なので、しかるべき施設で約1カ月をかけて培養検査をする必要があります」

 ちなみに、便ドナーには移植前に食事制限をしてもらうという。香辛料やカフェインを含んだ食事は摂らず、炎症を起こした患者の腸に刺激を与えないような食事で、新鮮便を当日中に移植するのだ。

 今年に入り、潰瘍性大腸炎が大腸ガンに進行する過程で、腸内細菌が関係しているのではという議論が活発になってきた。さらに潰瘍性大腸炎と便移植の研究が進めば、安倍総理の病状進行を食い止めるのに最適な腸内細菌とドナーが見つかるかもしれない。いや、それが「最強便」の主であるイチローやカズなのかもしれないのだ。

「欧米ではCDによる死亡者が15万人を超えて国民病になりつつあり、アメリカとオランダでは全ての便ドナーの腸内フローラや成分をデータベース化する公的研究施設と『便バンク』が作られている。誰かの便からガンや感染症を予防する新薬ができるとも限らないのです」(消化器内科医)

 藤田医師も言う。

「日本でCD感染症があまり話題にならないのは、日本人が漬物や味噌、ヨーグルトなど、日常的に発酵食品を摂っているおかげで発症者が少ないからです。母親の母乳に含まれる腸内細菌も味噌も漬物も、ところ変われば千差万別で、腸内フローラはそれぞれに違う。健康で発酵食品を日常的に食べている人ならば基本的に誰もが、便ドナーになれる優れた腸内フローラを持っています。世界的に見ても、日本人の腸内細菌の多様性は群を抜いています」

 その優れた素養がさらに強化された存在のイチロー、カズが安倍総理を救う日は来るのか─。

 アベノミクスと地方創生を推進してきた安倍総理。みずからの健康と身を削る憲法改正議論より、新たな産業創生につながる「便バンク法案」の議論をしてはどうだろう。

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