アメリカでは、アップルの地図アプリの「メキシコ湾」の名称が「アメリカ湾」になったという。現在はアメリカ国内だけだが、今後こうした事態は世界に拡大するとも考えられる。これはグーグルの動きに追随したものだ。先にグーグルの地図アプリでは「アメリカ湾」になっていた。
「グーグルの場合は地図だけでなく、トランプ政権になってからカレンダーの仕様も変更されました。それまではあった『女性史月間』『黒人歴史月間』や、LGBTQなど性的少数派の権利の理解を促す記念日・月間などの表示がなくなりました」(全国紙記者)
この変化についてグーグルの説明は、「運営上の課題が理由でイデオロギー的な意味はない」と説明しているが、そのまま受け入れる人はいないだろう。
トランプ政権ではバイデン前大統領・民主党が訴える「多様性」、「公平性」、「包摂性」を意味するいわゆる「DEI」を見直す方策が取られ、様々な企業で「多様性目標」の削除もしくは見直しが行われ、日本でも見直す企業が出始めているからだ。
そしてもちろん、GAFA系のIT企業も同様の動きで、軒並みトランプ氏とは対立した彼らだが、1月20日の大統領就任式にはグーグルのスンダー・ピチャイ氏、アップルのティム・クック氏、メタのマーク・ザッカーバーグ氏らCEOとアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏らがこぞって出席。恭順の意を示して多額の寄附まで行っている。
従わない者は排除する。そんな動きもいよいよ始まった。
「米通信社のAP通信がホワイトハウスを出禁になりました。AP通信はメキシコ湾の名称を使い続けたため通告を受けていた
地図やカレンダーの表記を変えることは、歴史や文化を変えることになるわけだが、そんな修正主義が踏み絵と出禁という統制を前に粛々と行われているのだ。
(猫間滋)