元は民主党支持だったものの、2022年に共和党への「乗り換え」を宣言。今や米トランプ次期政権で政府効率化省のトップに納まることになり、「政商」のような地位にまで躍り出たイーロン・マスク氏。果たして1月20日のトランプ氏の就任式後にどんな動きをするかが注目されるが、場合によってはすでに始まっている“マスク離れ”が加速化する可能性を孕んでいる。
「ツイッター社買収後の制度変更のドタバタやヘイト言説の増加で、他のSNSツールへの利用者流出により“マスク離れ”は現れていますが、最近も英ガーディアンとフィナンシャル・タイムズに、テスラ車を巡って象徴的な話題が取り上げられている。それはテスラ車に『マスクがおかしくなる前に買った』や『アンチ・イーロン・テスラ』といった、まるで自分は今現在、好んでこの車に乗っているわけではないといったステッカーを貼るオーナーが2年前から現れるようになり、最近特に増えているといった内容。記事の中ではあるオーナーが、『(テスラ車に乗ることは)まるでMAGA(トランプ氏のスローガン「Make America Great Again=アメリカを再び偉大にしよう」)と書かれた帽子を被っているような感じ』と、恥ずかしさを語っているほどです」(経済ジャーナリスト)
テスラはもともと電気自動車(EV)の会社。ところがマスク氏がCO2の排出垂れ流しを厭わないトランプ氏の支持に転じたとなれば、クリーン社会の実現の一助としてテスラ車を購入したオーナーにとっては、非常に大きな裏切りと映ってもおかしくない。
「テスラの最新の23年次レポートでは、『(テスラ車をたくさん売ることで)化石燃料を衰退に追い込みたい』という文言は生き残っていますが、それまでにあった29年までの販売台数目標が消えている。この点について周囲からは、マスクの関心の力点は、クリーンなEVより“自動運転”の側にシフトしたのではないか、と受け止められています」(同)
“マスク離れ”が加速するのも当然である。
(猫間滋)