「敵に回すの?」記念運行を中止した真岡鐵道に罵詈雑言「撮り鉄」の過激派閥

 茨城県下館駅から栃木県茂木駅を結ぶ41.9キロを運行する真岡鐵道が12月3日、記念ヘッドマークを取り付けて走るイベントを急きょ中止したことが波紋を広げている。

 真岡鐵道では、ディーゼル機関車「DE10 1535号」の就役20周年を記念して、1980年代に運転された「北星」のヘッドマークを付けて、11月30日から12月22日の週末限定で1日1往復する計画だった。ところが最初の2日間の運行後、沿線の住民から「圏外の自動車が無断駐車している」「交通渋滞で生活道路が利用できない」などいった苦情が寄せられ、3日に中止を発表した。

 実際、現地では一部の悪質な「撮り鉄」が、無断で私有地に入る姿が目撃されており、ルール違反があちこちで横行していたという。真岡鐵道ではこのような事態が起きることをあらかじめ予想し、「公共の道を塞いでしまったり、線路内に近づいたりなどトラブル等が多発するようですと、企画も中止となる恐れがあります」と警告していたが、撮り鉄の耳には届いていなかったようだ。

 SNS上では真岡鐵道の苦渋の決断に理解を示す声が寄せられているが、面白くないのは一部の撮り鉄だ。真岡鐵道の公式Xには「アホだろこの会社 とっとと潰れてくれ」「まあ、この程度のことの予想も対処もできないなら、いっそSL運行もやめちゃえば?」「撮り鉄で儲かってるのに敵に回すの? ローカル鐵道なのに」などと非常識な罵詈雑言が投げかけられている。

 鉄道ジャーナリストが語る。

「最近は若年層を中心に撮り鉄の派閥が作られ、各地で撮影活動を繰り広げています。時には駅構内で、集団でシュプレヒコールするなど、さながら政治活動の様相を呈しています。派閥間の争いもあり、撮影場所を巡ってケンカが発生することも少なくありません。ただの『写真好き』と考えていると、さらなる大騒動に発展するでしょうね」

 真岡鐵道では2016年にも沿線の菜の花畑が撮り鉄に荒らされ、公式フェイスブック上で「もう来ないで下さい」と怒りを爆発させている。あれから8年が経過したが、撮り鉄のマナーは良くなるどころが、年々悪化している。

(ケン高田)

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