この資格でナンボ稼げる?(38)五輪前に需要増の「江戸文化歴史検定」

 8月30日に公開された星野源さんの主演映画「引っ越し大名!」がロングランヒットになっております。江戸時代の藩の国替え(引っ越し)で、1万人もの人々が大移動を強いられるとは‥‥。今では考えられませんが、今回、ご紹介する「江戸文化歴史検定」を押さえておけば、そんな時代劇をより深く、臨場感たっぷりに楽しめるはず。

 それではさっそく例題を見てみましょう。

〈問1〉1782年、日本初の豆腐のレシピ本として出版された「豆腐百珍」の著者の名前は、①仁杉五郎左衛門、②末吉孫左衛門、③金子七郎兵衛、④醒狂道人何必醇のうち誰?

〈問2〉1804年、外科医・華岡青洲は世界初となる全身麻酔手術に成功しましたが、その際に用いた麻酔薬の主成分は、①マンダラゲ、②キョウチクトウ、③ニッコウキスゲ、④レンゲツツジのうちどれ?

 実際の問題はマークシート式や一部記述式で出題されます。例題の答えは〈問1〉が④、〈問2〉が①となっています。

 試験区分は3級から1級まであり、試験は東京、大阪、名古屋の各会場で行われます。私は2級に合格していますが、1級は正直かなり難しいですね。公式テキストや副読本が何冊か発行されていますが、そこに書かれていないようなマニアックな問題もバンバン出ます。昨年のデータを見ると、1級の合格率は1割を切っていました。

 この検定を受ける御利益は、なんといっても江戸時代の雑学が身につくことです。私が「へえ、そうだったんだ!」と感動した雑学をいくつか紹介すると、例えば書籍の最後には書名や著者名、発行年月日、刷数、発行社名などが書かれた「奥付」というページがありますよね。奥付は、1722年に大岡越前が発した「お触れ」(出版物に作者と版元を入れる義務)に由来すると言われています。

 また、今や日本では当たり前になった学校給食は、1806年に「會津藩校 日新館」で行われたのが最初という説も、この検定で初めて知りました。

 たまに私はテレビのクイズ番組で出題する問題のネタ出しのお仕事をいただくのですが、この検定で得た雑学をベースに作問することもあります。

 雑学クイズの作問のみならず、今後はあらゆるビジネスに生かせるでしょう。来年の東京オリンピックでは国内外から多くの観光客がいらっしゃるでしょうから、タクシードライバーやツアーガイドなどの仕事に就く人にとっては大きな武器になります。

 また、史上最年少で1級に合格した、お江戸ル〝ほーりー〟こと堀口茉純さんのように、「江戸」をコンテンツにしてさまざまな情報を発信していくビジネスも考えられます。

 江戸の文化に特化した料理店や四文屋(江戸時代の100円ショップ的な店)、ニュースサイトの運営もおもしろいかもしれませんね。

(すずき・ひであき)

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