11月22日までアゼルバイジャンの首都バクーで開催中の「国連気候変動枠組条約締約国会議」(COP29)。だが、次期アメリカ大統領にトランプ氏が就任することになり、出席している関係国は動揺が隠せないという。
周知のようにトランプ氏は、2015年のCOP21で採択された「パリ協定」からの離脱を叫び、選挙戦中も「ドリル、ベイビー、ドリル!」(化石燃料をドリルで掘って、掘りまくれ)と、支持者に訴えていた。
「今回のCOPは『ファイナンス(資金)COP』とも呼ばれ、途上国の温暖化対策に必要な1兆ドル以上の資金拠出を各国に求めることが最大の課題です。12日には国連のグテーレス事務総長が、『最後のカウントダウン』としてこの課題を各国に求めました。ただ、アメリカのバイデン大統領とEU委員長は欠席しており、中国の習近平主席は代理を出席させるなど、会議が空回りしている感は否めませんでした」(全国紙記者)
実際、首脳級会談でも内容がかみ合わないことが多かった。国が海に没してしまいかねない島しょ国からは、当然のように「より多くの支援が必要」との要求が出たが、EUなどの先進国は「新興国も負担が必要」と容易に応じない。一方、中国は「まず最初に先進国が出すべき」との意見だった。さらには、こんな場面も…。
「フランスと開催国のアゼルバイジャンは、5月に南太平洋のフランス領ニューカレドニアで起こった暴動について、『(旧ソ連の)アゼルバイジャンが偽情報を流して先導した』『いや、無関係だ』などと言い争っていましたが、今回、アゼルバイジャンのアリエフ大統領がこのことを蒸し返したからか、フランスのエコロジー相は欠席してしまいました。また、14日には、アルゼンチンの代表団が突然帰国。同国では、昨年11月に『アルゼンチンのトランプ』と呼ばれる人物が大統領に就任しており、そのための政治的パフォーマンスとも見られています」(前出・記者)
まさに「笛吹けど踊らず」なのだが、気候問題は待ったなしの状況だ。空中分解の危機すら漂うCOPがこの先どうなってしまうのか、注目されるのである。
(猫間滋)