「とんねるずのみなさんのおかげでした」の「食わず嫌い王決定戦」をはじめ、錚々たる番組を担当してきた元フジテレビの牧原俊幸(66)。定年退職後はフリーアナウンサーとして活動する傍ら、先輩方との縁を大切にしているという。
──フジ時代に担当した「食わず嫌い王」は長年人気だった。思い出は?
牧原 23年やりましたね。何度も出ている方もいましたが、およそ600組=1200名のゲストが出演した。セットの入口が狭くて私がなかなか登場できず、小泉今日子さんに笑われたなんてこともありました(笑)。
──定年後、フジに残って仕事をする選択肢は?
牧原 働くことはできたんですが、待遇も変わってしまいますし、最後は管理職としての仕事が多かったんです。アナウンサーを続けたいという気持ちも強かったので、フジテレビ同期で現ワタナベエンターテインメントの会長・吉田正樹さんに相談したりして、フリーになることを決意しました。毎日、お台場に通うのも大変でしたしね(笑)。
──フリーになったことをつくづく実感したのは?
牧原 ABC(朝日放送)で「TOKIO城島 らくらく茂」という番組のナレーションを担当しているのですが、甲子園で高校野球大会が行われる時期は2~3週放送がないんですよ。そうすると、その分は収入もない。当たり前なことですが、フリーなんだなって。
──アナウンサー以外の活動は?
牧原 TAMC(東京アマチュアマジシャンズクラブ)に所属して、ボランティア活動の担当をしています。高齢者の施設や知的障害のある方が働いている作業所や保育園などから依頼を受けて、マジシャンを派遣するのです。自分も時々、演者として舞台に上がっています。この間は、他局の同期で元TBSアナウンサーの浦口直樹さんが主催するお笑いライブにゲストで出演しました。マジックは小学生の頃からやっているのですが、フジを退社した時に声をかけていただいて、浅草演芸ホールに3日間出演したこともあります。それが新聞の記事に出たら、マジシャンに転向したと勘違いした方が結構いました(笑)。
──マジック以外には?
牧原 フジのOBで作る「旧友会」の幹事をやっています。その中には色々な同好会があるのですが、私は低山を登る「歩こう会」で、70~80代の方々と山に登っていますね。あと別の団体でも2カ月に1回、おじ様、おば様たち先輩方とカラオケの会を開催しています。10年近くやっていて、私は幹事で、誰が何を歌ったのか記録をつけて冊子を作って配っています。現役の頃は高齢の方との付き合いがあまりなかったのですが、今は大先輩たちと楽しく過ごす日々を送っています。
牧原俊幸(まきはらとしゆき)1983年、フジテレビ入社。進行役、ナレーターとして多くの番組に携わり、「カノッサの屈辱」「カルトQ」など伝説的な番組も担当。「マッキー」の愛称で親しまれた。2018年に定年退職。