「トイレ内健康診断」チェックシート(1)800万人が悩む「排尿障害」

 健康診断や定期検診といった大がかり(?)な行動を労さずとも、自分のおおまかな健康状態をリアルタイムで知るすべはないものか。そう、我々に最も身近なアレ‥‥排泄物をみずからチェックすれば、わかることがたくさんあるのだ。

 朝起きたあとのトイレ、仕事の合間や外出先で─。毎日、目にする自分のオシッコ。排泄物を観察すると健康状態や隠れた病気がわかる、という話を聞いたことがあるのではないか。ちまたに出回るそうした情報の、いったい何が正しくて本当に必要なのか。色、ニオイ、出方や分量といった項目から明らかにしようと、日本泌尿器科学会専門医で高橋クリニック院長、高橋知宏医師のもとを訪ねた。するとまず、

「一般的な尿の色は黄色。尿には腎臓から排泄される老廃物、主に尿素が含まれていますが、1日に排出される老廃物の量はほぼ一定なので、水分を多く摂るほど尿は透明になっていく。逆に水分摂取量が少なければ色は濃くなるので、朝のオシッコがオレンジ色になるのは普通のことです」

 尿の色はビタミン剤を飲んだりレバーを食べたりするとより黄色くなるなど、摂取するものの影響を受けるため、実は神経質にならなくてもいい。そこで問題なのは、尿に血が混じっている時。排尿のどの時点で血が混じるかで、病気の種類が変わってくるのだ。

「出始めの血尿は前立腺から尿道までの部分からの出血で、前立腺炎などが考えられる。出終わりの血尿は前立腺からの出血で、急性膀胱炎。尿の全部が血尿の場合は腎臓、尿管、膀胱からの出血で、これらの部位のガン、尿管結石、腎臓の先天性奇形の疑いがあります」

 あな、おそろし。これを見たら、医師のもとへ直行だ。

 色以外の見た目で注意したいのは「泡立ち」と「濁り」。尿に糖やたんぱく質が混ざっていると泡立ちが数秒では消えず、ズボンのチャックを閉める時点になっても残っていたりする。そして尿中の塩分や白血球が混ざった「混濁尿」は、結石や急性膀胱炎などの病気の疑いも。

 次に、ニオイ。これは尿中の老廃物の成分によって変わるため、基本的には気にする必要はない、と高橋医師は言うが、

「ただし、残尿が膀胱にたまることが多くなると、尿中の尿素がアンモニア化して、かなり強いニオイになります。また、オシッコが終わりトイレから出ても尿のニオイを感じて気になってしまうのは『幻臭症』と呼ばれる症状。どちらも『排尿障害』が原因なので、治療を要しますね」

 排尿障害とは、たまった尿をスムーズに体外に排出する過程に異常を来した状態を指す。現在、排尿障害に悩む40歳以上の男女は多く、800万人以上というデータも発表されている。

 例えば人の1回の尿量は300ミリリットル~500ミリリットルで、正常であれば1日に4~5回トイレに行くとして、1500ミリリットルほどの尿量になる。それよりはるかに量が少ない場合は、排尿障害が隠れている。

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