全土が危険!外務省が退避勧告を発出する「ウクライナ以外」の6カ国とは

 外務省が治安状況などをもとに国や地域の安全度の格付けを行っている「海外安全情報」。現在戦争中のウクライナは国土全域が4段階中もっとも高いレベル4の「退避勧告」になっているが、相手国のロシアは同国との国境地帯のみでそれ以外の地域はレベル3の「渡航中止勧告」止まりだ。
 
 だが、全世界に目を向けるとウクライナ同様、すべての地域がレベル4の格付けがされている国が他に6カ国も存在する。
 
 例えばアフガニスタンは、21年8月に米軍が撤退し、イスラム原理主義組織のタリバンが再び国土を掌握。米軍が駐留する01年以前の暗黒期に逆戻りし、女性は教育や社会進出の機会を失った。
 
 また、中東のシリアでは11年に始まった内戦が未だ継続中。1300万人の避難民を出し、ジャーナリストなど日本人にも複数の犠牲者が出たことを覚えている人も多いはずだ。
 
 91年の国家破綻以降、長期にわたり無政府状態が続いたアフリカのソマリアも、治安度が〝世界最恐〟と称される国のひとつ。タンカーや貿易船を襲う海賊がいることでも有名だ。
 
 ただ、上記3カ国は日本のニュースでも、その内情が一時期よく取り上げられた。これに対し、残りの3カ国は限定的にしか報道されず、入ってくる情報が極端に少ないからよけいに怖い。
 
 なかでもアラビア半島の南端に位置するイエメンは15年以降、古代中国の三国志のような三つどもえの内戦状態に突入。サウジアラビアとイランが異なる勢力を支援し、代理戦争の様相を呈するなど情勢が複雑化。国際社会がほとんど支援できず、食糧不足や医療崩壊で戦闘以外での犠牲者が続出。新型コロナの致死率が世界ワースト1位とのデータもある。

 そして、政府の力が脆弱で各地方を複数の武装勢力が支配する中央アフリカは、政府や武装勢力同士の戦闘が常態化。ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の部隊が展開する国のひとつとしても知られている。

 最後にリビアだが、ガタフィ大佐が1969年から最高指導者として支配していたが、2011年に中東や北アフリカで起こった民主化運動〝アラブの春〟の影響で政権が崩壊。同年、反体制派に捕らえられて殺害され、新政権樹立されるも14年に内戦が勃発。現在も暫定国民統一政府(GNU)と国民安定政府(GNS)が対立関係にあり、それぞれを支持する民兵組織同士で激しい戦闘が繰り返し行われている。

「少し前に紛争が激化してニュースや新聞で頻繁に報じられていたスーダンですらレベル3と4が混在。軍事政権が民衆を弾圧していたミャンマーはレベル3地域もありますが、大半は『不要不急の渡航は止めてください』のレベル2止まりです。つまり、国土全域がレベル4の国は、これと比較にならないほどひどいということです」(全国紙国際部記者)

 世界中にはウクライナのように国土が戦場と化している国が数多くあるのだ。

※画像は内戦前に撮影されたイエメンの首都サヌアの旧市街

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