トランプ再選「絶対阻止」を狙う「サイレントキラー」(2)第2、第3の暗殺事件も

 まず、ローンウルフよりも最初の敵となるのは、極左陰謀説集団「ブルーアノン」の存在だ。

「民主党を象徴する『ブルー』と匿名を意味するアノニマスを略した『アノン』を合わせた用語で、いわゆるリベラル派の陰謀論者のグループになります。トランプ氏の暗殺未遂事件を自作自演のものだとSNSで主張して話題になりました。トランプ氏を排除するために第2、第3の暗殺事件が発生する可能性も否定できません」(山田氏)

 そんな過激な観測が浮上するのもさもありなん。16年の米大統領選中に、極右陰謀説集団「Qアノン」が喧伝した「ピザゲート」なる前例があったのだ。

「民主党のヒラリー・クリントン(76)陣営の関係者が、『ワシントンD・Cにあるピザ屋で人身売買や児童性的売春に関与した』という陰謀論です。当然ながら、事実無根なんですが、陰謀論を信じる人たちからピザ屋は執拗に嫌がらせを受けます。SNSにネガティブな情報を書かれるのは序の口で、正義感に駆られた20代の男がライフル銃で押し入る銃撃事件まで発生しました。そういった極端なアクションは、〝逆サイド〟でも考えられる現象だと思います」(山田氏)

 今回の暗殺未遂事件前にも殺害を示唆する情報が錯綜したという。在米ジャーナリストが語る。

「情報を入手したFBIが警備体制を強化していました。それだけに、発砲を防げなかったシークレットサービスはその失態を非難されているのです。20年にイランの国会議員がトランプ氏に300万ドルの懸賞金をかけたことがありましたが、それが取り下げられたという情報は出ていません。今後もダークウェブを中心に殺害予告が出回るのは必然でしょう」

 外ばかりではなく、内なる敵も待ち受けている。共和党の正式指名を受諾し、一枚岩に団結したかに見えるが‥‥。

「一蓮托生の候補者と異なり、〝反トランプ〟の矛を収められない人もいます。例えば、共和党内にも『アメリカン・アゲインスト・トランプ』をはじめとする落選運動に熱心な政治資金団体が複数存在します。また、巨大な支持組織を持つ大富豪のコーク兄弟は『保護貿易』を推進するトランプ氏と対立。予備選でもヘイリー陣営に資金を注入していましたが、今後はネガティブキャンペーンに転じる可能性があります」(在米ジャーナリスト)

 事件後、いつもの過激スピーチを封印、一転して「団結」を訴えたトランプ氏。このまま穏便に11月決戦を迎えられるとは限らない。

*週刊アサヒ芸能8月1日号掲載

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