今年7月、大阪の百舌鳥・古市古墳群が「ユネスコ世界遺産」の世界文化遺産に登録されたことを受け、世間は古墳熱に沸いているようです。
私も古墳や遺跡といった〝古代ロマン〟が大好きでして、他にも「ロケット型の石の彫刻」(トルコ)や「コスタリカの石球」のように、「なんでこんな古い時代にこんな文明物が?」と思うようなオーパーツにも興味を引かれます。
そこで今回、ご紹介するのは「考古検定」。日本各地の遺跡の名前や歴史、出土品など、考古学にまつわる幅広い知識が学べる検定です。
それでは実際に例題を見てみましょう。
〈問1〉長崎県壱岐市にある弥生時代の遺跡で、日本で唯一、人面石やココヤシで作った笛などが発見されている国指定の特別史跡は、①吉野ヶ里遺跡、②井戸尻遺跡、③三内丸山遺跡、④原の辻遺跡のうちどれ?
〈問2〉日本で1番大きい古墳は大阪府堺市の大仙陵古墳ですが、2番目に大きな古墳は大阪府羽曳野市にある、①誉田御廟山古墳、②岡ミサンザイ古墳、③網野銚子山古墳、④武蔵府中熊野神社古墳のうちどれ?
実際の問題は、四択式や記述式で出題されます。例題の答えは〈問1〉が④、〈問2〉が①となっています。
試験区分は入門、初級、中級、上級、最上級と5つのクラスに分かれており、私は中級に合格しています。入門〜中級は自宅で受験する「インターネット検定」となっており、上級、最上級は47都道府県にあるテスト会場で受験することになります。
さて、遺跡は意外にもごく身近なところに存在します。例えば、私が通っていた東京大学の本郷キャンパス内でも、江戸時代の加賀藩上屋敷跡や11代将軍・徳川家斉の娘・溶姫の御殿跡、さらには女性のかんざしや伊万里焼なども出土しました。
2012年の文化庁の統計によれば、日本全国にはこういった遺跡が46万カ所以上あるようです。
考古検定の勉強を通じて各地の遺跡に詳しくなったら、まずは自分の家の近くから遺跡巡りをしてみるのはいかがでしょう。
ビジネスの場で考古学の知識が役立つことも。例えば、もし取引先の担当者が東京都多摩市出身だった場合、「多摩といえば先日、和田・百草遺跡でヘビの顔が描かれた深鉢が市内で初めて出土しましたね」と遺跡談義に花が咲くことだって十分ありえるわけです。
考古学の勉強で学んだ古代の人々の生活の痕跡や出土品などをヒントに、新商品を開発するのもいいかもしれません。ヤミラさんという考古学者は、研究のかたわら、土器片に似せたクッキー「ドッキー」を作るワークショップを開催して大盛況のようですからね。
インディ・ジョーンズとまではいかなくても、検定で知識を得てから街を散策すれば、小さな発見があるかもしれませんね。
(すずき・ひであき)