3万4000円分のナゲットが…米マクドナルドの「AIドライブスルー」がポンコツ過ぎて全撤去

 急速に進化を遂げ、我々の生活にも浸透しはじめたAI(人工知能)だが、まだまだ完全に信頼することはできないようだ。米ファーストフード大手「マクドナルド」のAIドライブスルーがミスを連発していることから、導入されているおよそ100店舗から撤去されることが明らかとなった。

「マクドナルドは2021年にIBMとの提携を発表して、ドライブスルーに利用できる自動注文システムの導入を進めてきました。しかし、あまりにも注文間違いが多すぎることから、利用者から苦情が殺到。2年にわたって行われた実証実験は失敗という形で、7月26日までに打ち切られることが決まったのです。なお、同社はIBMの製品は引き続き活用していくと説明していますが、AIについては他のパートナーに協力を求めることになるかもしれません」(フリーライター)

 マクドナルドのクリス・ケンプチンスキーCEOはAIドライブスルーの導入当初に、音声認識技術の精度は約85%で、5回に1回は人間のスタッフがサポートしなければならないと説明していたが、2年たってもその精度は向上しなかった。23年にはTikTokにマクドナルドのAIドライブスルーのポンコツぶりを投稿する人が続出。アイスクリームを頼んでいるのにバター2️個とケチャップ4個が注文されてしまったり、チキンマックナゲットを頼んだらなぜか約3万4000円分のナゲットが注文に加えられたりとメチャクチャで、注文間違いを楽しむためにドライブスルーを利用する人も少なくなかったという。

「マクドナルドは27年までに全世界で9000店を新規出店するとしていましたが、AIが店舗運営の肝になると考えられていましたから、今回のAIドライブスルーの中止によって出店計画にも影響を及ぼすことになるかもしれません。AIの注文間違いによって、アレルギーを持つ客がアレルゲンを含む食品を提供されるような事態が発生すれば、大問題になりますからね。一旦の打ち切りは妥当な判断だったのではないでしょうか」(経済ジャーナリスト)

 近い将来、ドライブスルーの仕事はすべてAIに奪われると思われていたが、意外にそうでもないのかもしれない。

(小林洋三)

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