石川遼にようやく輝きが戻って来た。7月の日本プロゴルフ選手権で3シーズンぶりに優勝すると、8月の長嶋茂雄招待セガサミーカップでも通算20アンダーの大会タイ記録で2試合連続V。完全復調を印象付けた。
「腰痛がおさまったことが大きな要因でしょう。今季開幕戦を腰痛で欠場しましたが、一昨年まで主戦場にしていた米国ツアーで大きく成績を落としたのも腰痛が原因。その影響でフォームまで崩してしまいました」(スポーツ紙記者)
もともと石川は飛ばし屋で知られていたが、米ツアーでは違った。大柄な外国人の中に入れば、飛距離は「フツー」。それを補おうとフルスイングした代償で腰を痛め、さらに「パワーではなく、技術で飛ばす」と改造を繰り返し、本来のフォームを見失ってしまう。結果、米ツアー撤退も余儀なくされた。
そうした負のスパイラルが、ここにきてようやく断ち切れたわけだ。だからこそ石川はいま新たな野望を秘めているとう。
「米ツアー復帰ですよ」
そう指摘する関係者の声は多く聞かれた。本人も、いまの好調が続けば十分戦えると確信しているようだ。
石川が“米復帰”へのアピールとして考えているのが、タイガー・ウッズやロリー・マキロイも参戦する日本初のPGAツアートーナメント「ZOZO CHAMPIONSHIP」(10月24〜27日)だ。ここで優勝すれば、米ツアーへの道が開ける。日本のゴルフ関係者は米ツアー復帰に否定的だが、石川には急がなければならない理由があるという。
「選手会長として、大会スポンサー引き止めているのも石川です。石川は人気回復のため、企業との打ち合わせやチャリティー活動にも熱心。その努力は周囲も認めていますが、本人はゴルフに専念したいという思いも強く、国内に留まっていたら練習不足に陥ってしまうと危惧しているところもある。再びアメリカに拠点を置き、帰国したときにチャリティーや普及活動に専念したいという気持ちがあるようです」(専門誌記者)
その「ZOZO CHAMPIONSHIP」だが、前社長の前澤友作氏は大会会長から名誉会長になり、プロアマ戦や前夜祭には顔を出すようだ。石川と接触するかはわからないが、石川としては本戦の方に専念したいというところだろう。
(スポーツライター・飯山満)