世界各地の壁などにゲリラ的に作品を次々と発表しているグラフィティアーティストのバンクシー。30億円以上の高値で落札された作品がある一方、そのまま現地で保存されている作品も多く、地元の新たな観光名所となっているケースも少なくない。
そんなバンクシーに比べると少々地味な印象もあるが、同じように近年世界中で発見されているのは壁に埋め込まれた謎のUSBメモリー。ちょっと不気味な気もするが、これもれっきとしたアート作品だという。
「これはドイツ出身の現代アート作家、アラム・バートルによる『Dead Drops』と呼ばれる作品群です。ネットを介してオンライン上でデータを共有できる現代社会に対するアンチテーゼの意味が込められています」(アート専門誌編集者)
公式サイトで確認したところ、設置されている場所はなんと2314カ所(※6月11日時点)。日本国内にも8カ所あるようだが、一部はすでに撤去されているとの情報もある。しかも、バンクシーと違ってそのほとんどは本人による作品ではないという。
「これは誰もが参加可能なアートプロジェクト。そのため、趣旨に共感したわけではなく、単に面白がってやっている方が多いと言われています」(同)
なお、壁に埋め込まれたUSBメモリーは、ノートパソコンとの接続が可能。その一部にはメッセージやアスキーアートなどのデータが入っているようだ。だが、これに関してはネットセキュリティの専門家から「コンピューターウイルスに感染するリスクがある」と危惧する声も上がっている。
「今のところ、被害は確認されていないようですが、そういう愉快犯がウイルス入りのUSBメモリーを仕掛ける可能性は大いに考えられます」(同)
もし街で見かけても、興味本位でパソコンに接続するのはやめたほうがよさそうだ。