日本ラグビー協会は6月5日に開いた理事会で、23年度決算が3億4000万円の大幅な赤字になることを発表した。2019年の日本でのW杯開催で、ラグビーの人気や注目度は急上昇したが、一方で様々な問題を抱えていることが浮き彫りになった形だ。
「協会は赤字の理由を、福岡市に昨年6月に築いた強化拠点の『JAPAN BASE』の開所が遅れたことと、当初は予定していなかった男女7人制ラグビー『セブンズ』のパリ五輪予選を11月に大阪で開催し、支出が増えたことなどを上げています」(スポーツライター)
とはいえ、世界に目を転じても、ラグビーの収益化はそう簡単でないようだ。23年のW杯が大きく盛り上がったフランスでも、フランス協会は22年度に約25億円、23年度に約38億円と、2期連続の赤字を発表している。また、ラグビー発祥の国でもあるイングランドでさえ、プロチームが多く破綻しているのが現状だ。
日本でも、W杯開催時の総収入は約680億円あったが、その大半は主催である国際協会の「ワールドラグビー」に渡っている。それでも協会には約68億円が入っており、23年度の収入61億8000万円と比較すれば相当な収入だったことがわかる。ただ、慢性的な支出も少なくなく、23年度は64億9000万円で、上記のように赤字となってしまった。
「日本ラグビー協会は、22年1月から国内での新リーグとなる『ジャパンラグビー リーグワン』をスタートさせました。ところが、初年度からチームの統合や廃部が相次ぐなど、厳しい運営が続いています。加えて、激しいスポーツであるラグビーは、シーズン中に多くの試合を組めないこともあってリーグワンの年間試合数はわずか96。24年のJリーグの試合数が380なので、ビジネスとしては規模が小さくならざるを得ないのです」(前出・ライター)
せっかく注目度も実力もアップしてきた日本ラグビー。クリアしなければならない課題は多そうだが、今後もますます人気スポーツとして根付いていって欲しいものだ。
(猫間滋)