萩生田氏と密約説も「岸田独裁」まっしぐらで自民党「分裂」の危険水域

 自民党内が「分裂」の危険水域に入ったという。理由はほかでもない、裏金問題の処分をめぐり「岸田独裁、不公平、血も涙もない奴」と党議員の間に不満が充満しているためだ。

 不満を象徴するのが、最も重い処分「離党勧告」を受けた安倍派座長の塩谷立元文部科学相(不記載額234万円)だ。処分理由は「安倍派幹事会座長ながら派閥資金処理に適切な対応を取らず大きな政治不信を招いた」こと。だが塩谷氏にすれば、座長就任は昨年8月から。裏金継続を協議した時点ではその立場になかったと反発する。

 自民党長老が言う。

「塩谷は処分発表後、特に岸田が処分対象から除外されたことについて『 (一般社会では)何かあったら社長が責任取る。岸田氏も同じような処分を受けるのが公平だ。安倍派の一部議員だけがガス抜きスケープゴートにされた』と怒りをぶちまけた」

 岸田氏と塩谷氏の関係は元々良好だった。

「選挙応援に駆けつけてもらったり酒を酌み交わすなど仲は良かったと聞く。それだけに今回の処分で岸田から一言もなく、いきなり後ろからバッサリ切りつけられてガマンならないのだろう」(同)

 もう1人、「岸田独裁」に穏やかでないのが西村康稔前経済産業相だ。党の処分としては3番目に重い、1年間の期限付きの「党員資格停止」だ。

 西村氏は元経産官僚で、官僚時代に石川県に出向し、石川のドンであり日本政界のドンであった森元総理の知遇を得て政界進出。そして21年には安倍派事務総長を担っていた。自民党関係者が言う。

「西村氏は問題発覚以前から今秋の総裁選に出馬する意向を示していた。岸田氏にすれば西村氏は森元総理の腰ぎんちゃく。これをバッサリ切れば自分の総裁選のライバルが1人消えると読んでの処分ではとも揶揄されている」

 逆に処分が甘く、何か密約でもあるのでは?と勘繰られているのが萩生田光一前政調会長だ。

「萩生田氏は事務総長経験はないが不記載額が2728万円と5人衆の中で最も多額。それが1年間の『党の役員停止』で実質、お咎めなし。そのため党内外から『甘すぎる』と厳しい声があがる。さらに今回、都連会長は続投というから『筋が通らない』と猛批判が出ている」(前出・自民党関係者)

 旧安倍派議員もこう言う。

「若手・中堅の間では岸田おろしをするしかないとの声が蔓延している。それが叶わなければ岸田自民党から離脱だ。狼煙となるのは4月28日投開票の島根1区補選。自民が負ければ一気に岸田と勝負だ」

 注目された補選は、長崎3区と東京15区は不戦敗。唯一野党とガチンコ対決となるのが島根1区だ。自民は元財務省新人を擁立、立憲民主は元職。島根は竹下元首相らを産み出した自民党の牙城、そこで野党に負ければ岸田自民はいよいよ崩壊か分裂だ。

 岸田首相は国賓待遇で訪米、10日には日米首脳会談のあとにYOASOBIらも招かれた晩餐会に臨んだが、自民党関係者からは「最後の晩餐か」という揶揄が止まない。

(田村建光)

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