大谷翔平のバックにつくセレブ専門弁護団VS「FBI」「IRS」「DHS」強力捜査機関トライアングルの攻防

 ドジャース・大谷翔平選手の専属通訳を務めていた水原一平氏を巡る違法賭博問題。本来であれば捜査の管轄は連邦捜査局「FBI」となるのだが、今回の案件は日本の国税庁にあたる政府機関である内国歳入庁「IRS」に加え、アメリカ国内の治安維持、強化を目的に作られた国土安全保障省「DHS」が共同で捜査にあたることが発表され、米法曹界でも大きな話題になっている。外報部記者が説明する。

「IRSの捜査対象は脱税から麻薬取引、公的な汚職、医療詐欺などの金融犯罪で、有罪判決は約88%という連邦検察に次ぐ有力な捜査機関。IRSには、『CI』と呼ばれる犯罪捜査部門があり、任務にあたる捜査官には潜入捜査や銃器携帯も許可され、むろん逮捕、差し押さえも可能です。一方、DHSは2001年の『9.11』のテロを受け設置された省庁で、対テロ対策だけでなく、密輸取締りや人身売買取締り、さらにはサイバー攻撃についても管轄権を持っています。今回の水原氏の案件では、FBIとこの2つの機関により、賭博の胴元であるマシュー・ボウヤー氏から、その先にどんな形で金が流れたかについて徹底的に捜査されることになる」

 仮に水谷氏が大谷から奪ったとされる金がマネーロンダリングされ、テロリストの資金などとして使われていた場合、大谷が全く預かり知らぬことだったとはいえ資産の管理体制不備を突かれ、大谷自身に責任が及ぶ可能性もあるとされる。

「そもそも、この案件が明るみに出たのも、DHSやIRSが捜査対象としていたボウヤー氏への捜査が始まりだった。そして水原氏を通じ大谷の名前が明らかなったことで、DHS、IRSともに俄然本腰が入ったというわけですが、当局にとって有名人がらみの案件は不正撲滅における最大のキャンペーンになる。気合は相当入っているはずです」(同)

 そんな強力な捜査機関を迎え撃つべく、大谷が依頼したのが、米・ロサンゼルス郊外ウエストハリウッドのサンセット通りに事務所を構える「バーク・ブレトラー法律事務所」だ。

 同事務所は2022年12月中旬に、ブレア・バーク弁護士とアンドルー・ブレトラー弁護士により開設された新興だが、米法曹界では知らぬものがいないほど有名な存在なのだとか。

「この法律事務所は一般人相手の案件は扱わず、クライアントはすべてハリウッドのセレブリティーという、いわばエンターテインメントビジネスなどに特化した事務所。俳優ジョニー・デップと女優アンバー・ハードの泥沼離婚劇では、デップからDVを受けたというハードの訴えを取り下げさせたり、アメリカ人女性から性的暴行で訴えられた英王室のアンドリュー王子の弁護を担当。女性の元恋人による暴露記事をもとに裁判を有利に展開させ、結果、和解に導いたことで全米中で一躍話題になったようです」(同)

 そんな最強の弁護団といわれるだけに報酬も高額で、一説によれば「1時間で約2000ドル(30万円)」とのウワサもあるが、それでも全面的に無実となれば、契約金10年7億ドル(約1015億円)の大谷にとっては、さしたる額ではないかもしれないが…。

「ただ、大谷が“最強の弁護団”をバックにつけたことで、FBI並びにDHSやIRSの士気が俄然高まっているのは間違いないでしょう」(同)

 今後、激しい攻防戦が展開することは間違いなさそうだ。

(灯倫太郎)

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