元白鵬・宮城野部屋の師弟一括転籍案で火中の栗を拾う元魁皇“協会と板挟み”の危うさ

 大相撲宮城野部屋の“処遇”が揺れている。伊勢ヶ濱一門が相撲協会執行部へ出した案は「宮城野親方(元横綱白鵬)は伊勢ヶ濱部屋、弟子は大島部屋」というものだったが、これがあっさり却下。その執行部に宮城野親方を“監視せよ“と言われているのが浅香山親方(元大関魁皇)だった。

 一門の総帥は伊勢ヶ濱親方(元横綱旭富士)だが、浅香山親方は協会執行部の命を受け、場所中にもかかわらず伊勢ヶ濱親方へ出向き密会をしている。

「2011年、大相撲が八百長騒動の渦中にある時に白鵬がモンゴル人力士をまとめ“ストライキ“を画策しました。これを断固阻止したのが魁皇。見にきてくれるお客様のことを考えろ! と白鵬を一喝したんです。白鵬の父(故ジグジドゥ・ムンフバトさん)は魁皇の大ファンだったということもあり、やりたい放題やってきた白鵬ではあるものの、魁皇には一目置いているんです」(古参の相撲担当記者)

 その浅香山親方はこのほど、伊勢ヶ濱一門を代表する協会理事に就任する。

「51歳で理事就任は遅いぐらいですが、これで魁皇もいつかは理事長になれる候補の一人となりました」(夕刊紙記者)

 浅香山親方は今回の騒動で「一番は残った力士たちのこと考えなきゃない。宮城野部屋が少しでも良くなる方向に行くように考えないといけない。なくす(取り潰す)方向では絶対ない」と、今場所後に宮城野親方と力士全員の浅香山部屋への「転籍」を決めている。その過程でトラブルが起きたり協会との間で板挟みになるような事態となれば、浅香山親方のキャリアにも傷がつく。火中のクリを拾う“決意“をした「魁皇」の心意気が、結果的に実を結ぶかどうかは誰にもわからない。

(小田龍司)

スポーツ