日米争奪戦を制したのは、新庄ファイターズだった。
1月8日、日本ハムがメジャー通算108本塁打のフランミル・レイエス外野手との契約合意を発表した。レイエスは昨季、主にロイヤルズ傘下のマイナーで過ごした。しかし、ドミニカ共和国でのウインターリーグ後に“人気”が爆発。日米数球団による争奪戦に発展していた。
「長打力のあるレイエスは期待されながら、昨季は不振でマイナー落ちしてしまいました。でも、投高打低の傾向が強いウインターリーグで高い打撃力を発揮し、米球団も評価を改めたんです」(在米ライター)
その成績は2割9分6厘、本塁打9、打点34、OPS.899。9本塁打はブッチギリのトップである。
メジャーでも好条件で復帰できたのに、あえてNPB球団を選んだ理由は何なのか。日本のほかの球団もオファーを出していたというが、国内フリーエージェント市場で大争奪戦となった山崎福也の獲得に成功したように、ここでも日本ハムの交渉能力の高さがモノを言ったようだ。
「レイエスがエージェント会社『DTOスポーツ』と契約した時点で米球界は諦めたと言います。同社は巨人・ウレーニャ、ロッテ・メルセデス、広島・コルニエルなど『これからの選手』を数多く日本の球団に送り込んでいるからです」(現地記者)
また、レイエスは右の大砲タイプだが、軽く左足を上げてからスイングをする。上半身の力が強く、「阪神の佐藤輝明を右打ちにした感じ」(前出・在米ライター)だという。
だとすれば、外角の「ボールゾーンに逃げていくスライダー系の変化球」に弱そうだが、リーチが長い分、ファウルにすることはできるそうだ。
「ウインターリーグ同様、力任せのスイングをやめれば日本でも成功すると思います」(前出・在米ライター)
新庄剛志監督は「エスコンは球場が広くないし、軽く振っても入るんだというコツを掴んでくれたら三振は減るし、率も上がってくる」と語っていた。
「かつて日ハムに在籍したレアードもしばらくは力みすぎてうまく行きませんでした。栗山英樹監督(当時)がガマンして起用し、ようやく開花した」(関係者)
補強に成功し、オフの勝者となった日本ハム。新庄監督は「日替わり打線」だけでなく、守備位置も代えてくる。万波、清宮らにはそれがプラスに働いたが、変えてはならない選手も加わった。新庄監督がどこまでガマンできるかが、最下位脱出のカギとなりそうだ。
(飯山満/スポーツライター)