最近よく耳にする「幸福度」という言葉。参議院の「国民生活・経済に関する調査会」は幸福度の高い社会の構築を目的としており、民間調査会社「ブランド総合研究所」では毎年「地域版SDGs調査」の中で都道府県幸福度ランキングを発表している。また、シンクタンクの日本総研も隔年で「全47都道府県幸福度ランキング」を公開している。
こうした中、自治体の中には独自の幸福度を策定するところも出てきた。それが茨城県の「いばらき幸福度指標」だ。これによると同県は全国で9位(21年)→10位(22年)→13位(23年)となっている。
「この結果を見れば、上位に入っている茨城県は全国的に幸福度の高い県と見ることができますが、同県といえば、ブランド総合研究所が09年から毎年発表する魅力度ランキングでは過去15年中最下位がなんと12回。23年も2年ぶり定位置の47位に返り咲いています。また、同研究所の幸福度ランキングでも30位(20年)→39位(21年)→35位(22年)→39位(23年)と毎年30番台にとどまっているのです」(社会部記者)
ただ、調査会社によってランキングの偏りはあるようだ。例えば、日本総研の幸福度ランキングでは、茨城県は11位(18年)→14位(20年)→14位(22年)と、いばらき幸福度指標とほぼ同じ順位という結果になっているのである。こうした調査結果の相違について、地域マーケティング事情に詳しい経済誌記者が解説する。
「ランク付けのベースとなる指標の数は日本総研が80で、いばらき幸福度指標は42。いずれも客観的なデータをもとにしていますが、被っているものも多く、順位が似通っているのはそのためです。一方、ブランド総合研究所の幸福度は各県民へのインターネット調査によるもので、あくまで主観やイメージによるもの。茨城県に限らず、他のランキングと順位が大きく異なるのはそのためです」
ところで、いばらき幸福度指標では自県以外で公表しているのはトップ10のみ。下位がどの県なのか確認することはできない。
「茨城県が幸福度の下位県を名指しで発表するのはカドが立つからでしょう。21年には魅力度ランキング44位という結果に群馬県の山本一太知事が激怒したことが話題になりましたし、そもそもこの時の最下位は茨城県でした。だから、極力他県を傷つけないように配慮した結果だと思われます」(前出・記者)
他県への細かな思いやり。こんなところにも茨城県の幸福度の高さが表れている!?