阿部巨人「リーグ優勝&日本一奪還」のキーマンは吉村禎章「新編成本部長」だ!

 責任重大だ。といっても、阿部慎之助・新監督ではない。チーム編成の責任者として、編成本部長に就任した吉村禎章氏のことだ。

 実は、「原辰徳前監督の退任、阿部新監督の誕生」が衝撃的だったせいで抜け落ちてしまった事案がある。来季、巨人は「球団創設90周年」のメモリアルイヤーを迎えるのだ。

 記念すべき2024年は、Aクラス復帰などでは許されない。リーグ優勝、いや、日本一奪還が至上命題となるはずだ。

「投打ともに戦力を補強しなければなりません」(スポーツ紙記者)

 確かに戦力の補強は必要だが、フロントにも改革が求められるだろう。今シーズンを振り返ると、首位阪神に対して、6勝18敗1分け。2位広島にも8勝17敗。3位DeNAには勝ち越したが、14勝11敗とほぼ互角である。ヤクルト、中日のボロ負けがなければ、巨人の勝率5割超えはできなかったはずだ。

「阪神、広島に大きく負け越したのは戦力差だけではありません。各選手の苦手を見抜かれたのでしょう。とくに投手陣は変化球の軌道まで見抜かれていた印象です」(前出・記者)

 吉村編成本部長は戦力補強だけではなく、スコアラーを含めたデータ解析チームの強化や増員にも着手しなければならない。ただ、気がかりな点もある。

「吉村編成本部長は打撃コーチなど現場での指導も長く、阿部体制を支える新コーチたちのことも良く知っています。でも、『コーチ・吉村』の時に相手投手のどの球種を狙うべきかなど、的確なアドバイスがあったとの話は聞いたことがありません」(球界関係者)

 日本球界での編成本部長は、メジャーリーグ球団のゼネラルマネージャーとほぼ同格だ。米球界では、ペナントレース大敗後、現場の監督、コーチよりも厳しいバッシングを浴びる存在でもある。原前監督は「全権監督」だったので退任という責任の取り方をしたが、来季、チーム再建の重責は阿部監督だけが負うものではなくなった。

 90周年をもり立てることができるか否かは、吉村編成本部長の双肩にかかっていると言っても過言ではないだろう。

(飯山満/スポーツライター)

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