ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者のプリゴジン氏以下、幹部たちが犠牲になった23日に同国トヴェリ州で起きたプライベートジェット機の墜落事故。後継者が誰になるのか、候補者の名前は飛び交うものの未だ明らかになっておらず、解体や分裂、新会社の設立といった噂も流れている。
「情報が錯綜しており、他にも政府主導で他の軍事会社がワグネルを吸収合併するといった話もあります」(軍事ジャーナリスト)
国際情報分析会社のモルファーが4月下旬に発表したレポートによると、今年3月末時点でロシア国内にある民間軍事会社はワグネルを入れて全37社。そのすべてがプーチン大統領と何かしらのつながりがあり、25社がウクライナ戦争に参加しているという。
「ロシアが侵攻を開始した22年2月以降に設立されたのは11社。法的にはロシアは民間軍事会社の存在を認めていませんが、傭兵であれば戦死した際の補償は不要で国の負担は減ります。実際、モルファー社の分析では67%の会社の資金源は公金で17%が官民。合わせて84%の軍事会社に政府が出資しており、実質的にはプーチン政権が設立を後押ししています」(同)
なかでもワグネルに代わる存在になりうる可能性があるのは、プーチン政権の〝黒い金庫番〟と称されるオリガルヒのゲンナジー・ティムチェンコ氏などが出資しているとされる「リダウト」。また、大統領の側近の1人として知られるアレクセイ・ミレル氏がCEOを務める天然ガス供給量世界最大を誇る半国営企業ガスプロムも「ファケル」「ポトーク」など複数の民間軍事会社を保有している。
「いずれもウクライナ東部のドネツク州など激戦地で部隊を展開しており、戦闘力の高さはロシアの民間軍事会社の中でもトップレベル。名前が挙がった人物は直接部隊を指揮するわけではないですが、それぞれの軍事会社に強い影響力を持ちます。現在は大統領と蜜月関係ですがプリゴジン氏の例もあり、この先も悪化しないとの保証はありません」(同)
一部ではロシア軍や軍事会社による覇権争いが起きているとの報道もある。連携が取れていないと、それこそウクライナ軍に付け入る隙を与えることになりそうだが…。