牛丼チェーン「吉野家」は、エッグショックの影響で今春の販売を見送っていた「親子丼」を、卵不足が解消したため8月24日から期間限定で発売すると発表した。ただ、原材料や物流費の高騰によって昨年よりも110円値上げしての販売されることにネット上では《無理してまで親子丼を出す必要はないのでは?》といった声も見られる。
「同チェーンの親子丼は、2012年に販売していたものを10年かけて再開発したというこだわりの商品で、昨年4月に発売される直前には当時の常務が大学の講座で『生娘シャブ漬け戦略』発言をして批判が殺到。吉野家離れが心配される中で400万食以上を売り上げる大ヒット商品となりました。ある意味で吉野家を救った親子丼は今年の春にも登場する予定でしたが、鳥インフルエンザによるエッグショックで卵が入手困難な状況となり、代わりに『焦がしねぎ焼き鳥丼』が販売されたのでした」(フードライター)
その後、卵不足が解消されたことから10月中旬まで(材料がなくなり次第終了)親子丼が販売されることが決定。今回は鶏肉に下味をつけて、その美味しさを最大限引き出すことで、鶏肉の存在感と全体の完成度を高めたという。ただし、原材料や物流費の高騰を受けて、昨年は並盛が437円だったものが、今年は547円と110円値上げして販売される。
「吉野家としては、親子丼を期間限定商品のひとつの柱にしたい狙いがあると思われます。来年の春まで発売を待つとなると、昨年400万食を売り上げたインパクトが薄れてしまうため、110円値上げしてでもなるべく早いタイミングで一度投入したかったのではないでしょうか。ただ、今年4月には丼ぶりと京風うどんの『なか卯』が親子丼の並盛を490円から450円に値下げしています。もともとクオリティの高い人気商品でしたが、鶏卵価格が高騰している最中に値下げしたこともあって大きな話題となりました。吉野家の親子丼は間違いなく、なか卯のものと比較されることになるので、110円値上げしてでもこのタイミングに投入したことが本当に正しかったのか…。ネット上では《牛丼並盛より約100円も高い…》《もう少し値段をおさえてくれたら》といった辛辣な声があがっているだけに、吉野家の決断がどう出るか楽しみです」(同)
昨年の400万食を超えるヒットになるか、それとも…。
(小林洋三)