テレビ局の中で最も性に公正、ジェンダー・ギャップに敏感とみなされるのがNHKである。だからだろうか、アナウンサーの何気ない発言が「女性を特別視している」と批判を浴びたりするのだから気の毒だ。これを取り上げたAsageiBizの記事は高い注目を浴びた。(以下は6月12日配信記事より)
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「北九州の『角打ち』を楽しみに、県外からいらっしゃる方も多いと、ハシゴ酒される方もいらっしゃると聞いています。本当に“大人から、女性、子供まで”人気があるんですけど…」
北九州のお酒文化「角打ち」が近年ブームになっていることを冒頭のように紹介するのは、NHK北九州所属の神戸和貴アナウンサー。これは同局朝の情報番組「あさイチ」の6月8日放送での一コマだ。この紹介の中で同氏は幅広い世代から人気があることを「大人から、女性、子供まで」と表現したが、これには一部の視聴者から「女性軽視的な発言」などと指摘の声があがってしまった。この日の放送では、タレント・井上咲楽が神戸アナとともに北九州を訪問し、角打ちを体験するロケVTRが放送された。
角打ちとは、酒販売店の一角に仕切られたスペースで、購入した酒を立ち飲み形式で楽しむ飲酒スタイルのこと。古くは工場や炭鉱で働く労働者が仕事帰りに酒屋で酒を飲んでいたことが定着し、そのスタイルが現代まで受け継がれている。そのため、年配男性の社交の場というイメージが強く、若い世代、特に女性にとっては近寄りがたいものだったが、近年ではその印象も変わってきているのだという。
「ロケVTRの中では、一般的な角打ちの他に、“進化系角打ち”を紹介。女性客で賑わうおしゃれで落ち着いた雰囲気の角打ち店や、店の一角にある駄菓子コーナー目当てに、子供たちも訪れるという酒店を取り上げました。このVTRを受けて、神戸アナは“大人から、女性、子供まで人気がある”という言い回しで紹介を続けたのですが、この表現はネット上で話題となり《“大人”には“女性”が含まれていないのか?》《無意識で女性差別が刷り込まれてる感じで怖い》《些細なことだけど女性差別ってこの積み重ねだよね》などとプチ炎上を招いてしまいました」(メディア誌ライター)
女性に人気の店、子供たちで賑わう店、それぞれ紹介したことを強調するための言葉選びだったのだろうが、ジェンダー意識の高い視聴者にとっては快くないものだったようだ。
(浜野ふみ)