楽天グループが8月10日に第2四半期決算を公表した。それによると、連結売上収益は前年同期比9.7%増の4972億円で、連結営業損失は前年同期比410億円改善のマイナス394億円だった。注目のモバイル事業は、売上収益で対前年同期比13.3%増の522億円で、営業損失は372億円改善し、マイナス789億円だった。
ただ、同日発表した2023年6月中間連結決算では、グループの純損益が1399億円の赤字。モバイル事業に至っては営業損失が1850億円となっており、やはり依然として同事業が足を引っ張っている構図は変わらない。
収益力強化のため、楽天はグループの再編を打ち出している。スマホ決済事業とポイント事業を「楽天カード」の傘下に置き、同社の上場も検討中だという。だが、
「楽天グループは今年に入って傘下の銀行と証券を次々と上場させ、資金調達を加速させています。ですがそれも限りがあるわけで、ネットやSNSでは、楽天カードの上場案について、《もう切り売りできる事業は最後》といった指摘が上がるなど、否定的な意見が大半です」(経済ジャーナリスト)
だからかどうか、このところの楽天を巡っては不穏な動きが相次いでいる。
「8月1日には、楽天カードのポイント制度の改変を行いました。これまではカード支払いのポイント付与が、月ごとの額の1%だったものが買い物ごとになったことで、毎回、1円未満の端数は切り捨てられることになりました。『ユーザーにとっては改悪』と指摘する声も少なくありません」(前出・ジャーナリスト)
また、8月7日に発表された楽天モバイルの新体制では、モバイル参入時から同社を牽引してきたタレック・アミン共同CEOが「家庭の事情」で退任するとされた。
「アミン氏の退任に関しては『泥船からの脱出』といった見方もあります。ただ、三木谷浩史会長兼社長は『モバイル事業は10〜12期で黒字化し、国内ナンバーワンのモバイルキャリアの道を突き進む』と息巻いていますね」(前出・ジャーナリスト)
ただ、ポイント制度はグループのあらゆる事業と密接に結びついており、モバイル事業も例外ではない。「ポイントの制度改悪」が、モバイル事業黒字化の足枷にならなければ良いが…。
(猫間滋)