この資格でナンボ稼げる?(31)年収1000万も狙える?「文章読解・作成能力検定」

 メールや手紙など文章のやり取りで、「これで伝わるかな」と不安になることってありませんか? そこで今回ご紹介するのは「文章読解・作成能力検定」(文章検)。これは文章の「基礎力」「読解力」「作成力」が問われる検定で、日本漢字能力検定協会が主催しています。

 それでは実際に例題を見てみましょう。

〈問1〉「惜しいと思うものを、断腸の思いで手放したり省くこと」を表す言葉は、①省略、②割愛、③除却、④要約のうちどれ?

〈問2〉「私が、仕事が優秀な部下のマネジメントでいちばん頭を悩ませているのは‥‥」という文章があった場合、それに続く文章で日本語の用法上、最も適切なものは、①「会社の業績が伸び悩んでいるからだ」、②「部下はまったく仕事ができない」、③「部下のプライドが高過ぎることだ」のうちどれ?

 実際の問題は選択式や記述式で出題されます。例題の答えは〈問1〉が②、〈問2〉が③となっています。

 試験区分は4級、3級、準2級、2級の4つがあり、受験料は2000円(4級)から4000円(2級)。団体受験と個人受験があり、前者の場合は学校や企業が独自に会場を設けて試験を実施しています。

 文章検では、ビジネス文書の書き方などが学べるため、メールや手紙などで相手を不快にさせるリスクもグッと下がります。メールの文面に曖昧な表現や情報の不足、ぶしつけな内容などが目立つと、「この人と一緒に仕事するのは不安だな‥‥」と、悪印象を相手に与えかねませんからね。

 それに、長年社会人をやっていると、第三者に自分の文章力をチェックしてもらう機会はそうそうないと思います。部下のメール文をいちいちチェックするほど暇な上司はいないでしょうし、部下が上司に対して「この文章だと意味不明なので書き換えたほうがいいと思います」などと言えるはずもありません(笑)。

 よく仕事で起こりがちなケースとしては、メールで何か質問をした時に、相手がこちらの求める回答をしてくれず、ポイントのズレた話を延々とされて、何往復もムダなやり取りが続いてしまうことがあります。

 この場合、メールを送る側の文章力、受け取る側の文章読解力のどちらに問題があるのかはケースバイケースですが、原因の一つには文章のポイントを正しく理解できていないということがあると思います。

 文章検では、文章の要点を整理する問題も出題されるため、メールでの意思疎通をスムーズにするコツも学べることでしょう。

 こうした合理的な文章の書き方を学ぶだけでなく、ブロガーやライターになる登竜門として活用するのもいいでしょう。「この例文(長文)を要約して書き換えなさい」とか「この例文に見出しやタイトルをつけなさい」といった、プロの執筆者や編集者がふだん仕事でやっているような問題も出題されます。

 売れっ子ライターの中には、年収1000万円を稼ぐ人もいますし、いずれにせよ、文章力は鍛えておいて損はなさそうですね。

(すずき・ひであき)

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