あまりにツッコミどころ満載のビッグモーター問題では、とりわけ多くの出向者を出していた損保ジャパンに癒着を疑う目が向けられるなどし、単独の企業不祥事で終わりそうにない。そんな中、自動車保険の水増しという本質からは外れるが、店舗前の街路樹を除草剤で枯らしていた問題では、小池百合子東京都知事が実態の調査を指示するまでに至っている。
また、中古車業界の裏の部分まで話は広がりつつあって、関わった企業はもちろん業界全体がだいぶイメージダウンした今回の事態でも、1人得をしたとネタにされているのが、ビッグモーターが街路樹を枯らすのに用いたというフマキラーの「除草王」だ。
「なにしろ街路樹まで枯らしてしまうからよほど除草剤として優れているに違いないと、『ビッグモーター御用達』などと言われてネットやSNSではこの話題で盛り上がっています。するとビッグモーターの店舗前の街路樹が枯れている様子を収めたストリートビューの写真がアップされ、中には枯れた街路樹の元で作業する社員の姿や、店舗前の街路樹に除草王が置かれたビューの画像まで報告され、完全にネタ化していますね」(経済ジャーナリスト)
だからフマキラーはこの問題の「唯一の勝ち組」などとも呼ばれているのだが、ネタとしてだけでなくその影響は株価にも表れていた。
「この問題で火の手が上がったのが、都合が悪い部分を隠して誤魔化そうとしていた調査報告書の全文がマスコミに漏れて表に出た7月14日のことですが、この日のフマキラーの株価は、ここ1カ月ほどで一番安い1117円だった。ところがその後、急激に上昇し、26日には年初来高値の1184円を付けています。同社株は年初来では1050円から1150円の間で小幅にしか動いていなかったので、50円以上の値動きはかなり大きいです」(同)
その後もSNSで、近所のホームセンターで除草王が売り切れで買えなかったという報告が上がり、まだまだネタ祭りは続きそうだ。
いずれにせよ、なんだかんだでフマキラーが今回の騒動で名を上げたことに変わりはない。
(猫間滋)