このトレード成立によって「両球団の弱点」を垣間見ることができた。
巨人・石川慎吾と千葉ロッテ・小沼健太の交換トレードが成立した(7月3日)。中継ぎを強化したい巨人と、右の強打者を探していた千葉ロッテの思惑が一致したようで、「両選手にとってもプラスになる」と好意的に伝えられている。
「そういえば、千葉ロッテの永野吉成スカウトが熱心に巨人ファーム戦に足を運んでいましたからね」(他球団スタッフ)
おそらく、今回のトレードは千葉ロッテ側から仕掛けたのだろう。
「近年、ロッテは左投手との対戦成績が良くない。さらに、ケガでチームを離脱している荻野貴司の復帰が遅れそうなんです。それで石川がほしかった」(球界関係者)
石川獲得の裏には「荻野の長期離脱」が隠されていたようだ。「長期化」といえば、巨人サイドにも勘繰られたくない情報が飛び交っていた。6月30日からチームを離れた守護神・大勢の状況だ。
「上半身のコンディション不良と伝えられていますが、4日にネットスローをようやく再開させました。ただのコンディション不良ではないみたい」(ベテラン記者)
小沼はファームではクローザーを務めている。大勢の代役は厳しいと思うが、5月31日のセパ交流戦で両球団が対戦したとき、小沼が巨人打線を相手に登板。3点ビハインドで迎えた9回表、門脇、丸、坂本、秋広に対し、「奪三振1、四球1、内野ゴロ2」と好投している。その後の小沼の成績を見てみると、6月17日のDeNA、同28日のオリックス戦では失点をしている。
「DeNA戦では3イニング、オリックス戦では2イニングを投げています。今年の一軍登板は4試合だけですが、1回なら抑えているものの、イニング跨ぎになると失点しています」(前出・球界関係者)
大勢の離脱が長期化すれば、中川皓太らが代役を務めると思われる。中川がクローザーにまわれば、「左のセットアッパー」は新たに獲得したWBCパナマ代表の左腕・バルドナードが務め、小沼も獲得しておこうと考えたのだろう。
「巨人二軍では堀田賢慎が救援転向で調整しています。でも、体が横回転する悪癖が直らず、桑田真澄ファーム総監督が指導しています。久保康生巡回投手コーチが小沼を見て8月には一軍で投げられるようにすると聞いています」(同前)
石川、小沼は働き場を与えられたことを喜んでいるはず。しかし、一軍戦力として、いきなり結果を求められるようだ。
(飯山満/スポーツライター)