7月2日、イーロン・マスク氏はTwitterに一時的な閲覧制限を設けたことを明らかにした。機械的にWebからデータをかすめ取るスクレイピングに対処するためと理由を説明しているが、この影響でTwitterから広告離れがさらに加速する可能性があるという。
「日本時間7月1日の23時頃からTwitterの投稿が読み込めなくなる現象が相次いで報告されていましたが、2日の午前2時にマスク氏が極端なレベルのデータスクレイピングとシステム操作に対処するため『一時的に制限を加えた』とツイート。認証済みアカウントは1日6000件まで、未認証アカウントは1日あたり600件まで、新規未認証アカウントは1日300件までに閲覧数の上限を設定したことを明らかにしました。その後、緩和したことを立て続けに発表し、現在では認証済みアカウントは1万件、未認証は1000件、新規未認証は500件まで投稿が閲覧できるようになったとしています」(WEBメディアライター)
極端なレベルのデータスクレイピングやシステム操作が起きているのにはAPIの有料化が関係しているという。TwitterではAPIを利用すれば簡単に情報を取得することができる。しかし、APIを有料化して最低でも月額100ドル(約1万4000円)が必要になったことから、公式APIを使わずプログラムにより機械的に無料でデータ収集するスクレイピングが横行。Twitterのサーバーに大きな負荷が掛かるようになってしまったため、その対策として閲覧数を制限しているのだ。
「閲覧数が大きく減少するということは、Twitterに広告を出している広告主としては頭が痛い問題だと思います。マスク氏は一時的な措置といいますが、根本的な対策をしなければ再び同じことが起こりかねません。米『ニューヨーク・タイムズ』が6月5日に報じたところによると、マスク氏がTwitterを買収して以降、多くの広告主が離れていき、広告収入は6割減少したといいます。6月16日にフランス・パリで開催された『ビバテック2023』に出席したマスク氏は、『ほぼすべての広告主がまた戻ってくる予定だ』と楽観的な見通しを示していましたが、今回のようなことがあるとなかなかTwitterには広告を出しづらいのではないかと思います」(ITジャーナリスト)
有料会員を増やすために今後さらに様々な機能が制限される、なんてことにならなければいいが…。
(小林洋三)