日ハム好調の要因か…交流戦で発覚した新球場の「MLB仕様」マウンド

 Aクラス入りまで、あと一歩。最下位脱出に成功し、5月の月間MVPでは加藤貴之、万波中正の投打の両方が選出されるなど、北海道日本ハムファイターズが上昇気運を掴んだ。

 セパ交流戦に突入し、「日本ハム好調」の理由の一つとして、新球場・エスコンフィールドのある部分に注目が集まっている。それが「マウンドクレイ」だ。

「6月10日の阪神戦がとくに象徴的でした。阪神先発の大竹耕太郎は制球力の高いピッチャーなのに、捕手の構えたのとは逆方向にボールが行くなど苦しんでいました」

 これは、セ・リーグ球団の関係者のコメントだ。開幕から負けナシだった大竹が初回から失点して敗れたのは驚きだったが、関係者らが見る部分は違った。

 エスコンフィールドのマウンドは「マウンドクレイ」という粘土のチップで造られている。専用の液体を撒いて均すのだが、表面にはクッション性があり、しかし5センチほど掘ると硬くなっていて、投手によってはスパイクの刃が刺さらずに滑るような印象を受けることがあるそうだ。

 さすがに、スパイクの刃が刺さらないことはないはずだが、「表面」と「下の層」の感覚が違うのは本当のようで、パ・リーグ各球団、そしてビジターゲームで対戦したセ・リーグのヤクルト、広島は自軍練習場のマウンドを硬くするなどして「マウンドクレイ対策」を講じたそうだ。
 
「大竹で試合を落とした後、岡田彰布監督も『マウンドが合わなかったみたい』とこぼしていましたね」(スポーツ紙記者)

 メジャーリーグでは多くの球場でこのマウンドクレイが使われている。しかし、日本ではあまり馴染みがないのは、甲子園球場に代表されるグラウンド整備のレベルの高さがあるからだろう。また、複数の土や砂がブレンドされており、マウンドクレイを混ぜている球場もあるそうだ。

 エスコンフィールドは観客席とグラウンドの距離感が近く、「メジャー仕様」と言われてきたが、マウンドの感触もメジャー流だった。表面はフワフワ、少し掘ったところは硬い。そのフシギな感触が、今季のパ・リーグを混戦にさせているのかもしれない。

(飯山満/スポーツライター)

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